望みをつないだケニア戦で見せた宮部藍梨のポテンシャル この経験は必ずや未来で活きる【パリ五輪】
自分が置かれた環境でベストを尽くした宮部の経験は今後のキャリアに生きるはずだ(C)Getty Images
パリ五輪を戦う女子バレー日本代表は現地8月3日、プール戦の第3戦に臨み、ケニアと対戦した。すでに2敗を喫していた日本が決勝トーナメントに進むためには、この試合を3-0で勝利することは必須、なおかつプールAでフランスがアメリカを3-0で下すこと(試合は現地8月4日)が条件、と厳しい状況に置かれる。
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もしかしたら、これがパリ五輪最後の試合となるかもしれない。2日前の第2戦でブラジルに完敗したことで窮地に追い込まれたわけだが、チームは「(ケニア戦が)最後かもしれないし、最後ではないかもしれない。気持ちを立て直して戦えました」という古賀紗理那キャプテンの言葉どおり、この一戦に力を注ぐ。そこでは各々が役割を果たし、特にケニア戦では途中交代でコートに立った面々が力を発揮した。
なかでもミドルブロッカーの宮部藍梨は3年間の集大成を飾るかのように攻撃面でアクセントになった。
振り返れば2015年に現役高校生ながらシニアの日本代表に登録され、国際大会デビューを果たした宮部。当時、女子日本代表を指揮していたのは現在の眞鍋政義監督である。
その後、高校を卒業してアメリカに渡った宮部は、カレッジバレーボールの最高峰である全米大学選手権でプレーするなど経験を積み、卒業を迎える2022年春、偶然か必然か、この年から就任した眞鍋監督によって再び日の丸をつけることになる。
その頃、宮部自身は「果たして自分が日本代表にどうやって貢献できるか、まったくわからない」とこぼし、そうして与えられた役割は以前と異なった。中学高校とエースを担い、大学でもポイントゲッターを務めるなど学生時代は主にサイドアタッカーでプレーしてきたが、眞鍋監督体制下の女子日本代表で就いたポジションはミドルブロッカー。身長182cmという高さを活かす狙いがそこにはあった。
やがて所属先のクラブでもミドルブロッカーとしてプレーすることになるわけだが、転向当初は当然不慣れな様子が見られ、アタックに関しても、どちらかといえばセミトスに近い軌道のボールをヒットするのがせいぜい。それでも着々と一段ずつ、成長を遂げていく。