日本人メジャーリーガーの“最難関”サイ・ヤング賞 “全盛期”の山本由伸で考える受賞のための「2大条件」とは?【現地発】

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25年のサイ・ヤング賞に輝いたスキーンズ。彼と山本の違いとなった要素は何だったのか(C)Getty Images

好投手スキーンズとサンチェスとの違いは何か

スキーンズ 10勝10敗 187.2回 防御率1.97 216奪三振 WHIP0.95
サンチェス 13勝5敗 202.0回 防御率2.50 212奪三振 WHIP1.06
山本 12勝8敗 173.2回 防御率2.49 201奪三振 WHIP0.99

 昨季はスキーンズが見事な支配力を発揮し、サンチェスの数字も総じて上質だった。ゆえに山本の3位は妥当なところだった。上位2人との最も大きな差になっているのは、イニング数だ。彼らは山本よりも2度多い32戦に先発し、より多くの投球回数を積み上げた。

 実は、山本は、被打率、奪三振率などではスキーンズ、サンチェスを上回っていた。となれば、シンプルにイニングが増えれば、奪三振数、WARなどもアップしていく。来季以降、先発数、イニング数を増加させることで、山本は日本人史上初の栄冠に近づくのだろう。

 問題は、ドジャースが常にポストシーズンの戦いを意識し、シーズン中の負担を抑え気味に起用すること。山本、そしてチームメイトの大谷もフル回転はされず、そのおかげでプレーオフに万全の体調で臨めたのだろうが、個人賞という点では難しくなる。その部分はチームが3連覇を目指す来季も変わらないはずで、「最大の障壁」と言えるのかもしれない。

 結論をいうと、山本のサイ・ヤング賞への条件は2つ。まずイニングなどは少なめでも、より圧倒的な投球を見せること。やはり投球回数も重要な要素と考えられているが、それでも21年に167.0回しか投げなかったコービン・バーンズ、18年は180.2回、2023年も180.0回で受賞したブレーク・スネルのような例もある。中でも18年のスネルは21勝、防御率1.89、221奪三振と圧倒的な成績で投げ続け、イニング数がリーグ14位でも大きなマイナスにはならなかった。

 そして、もう1つ。ライバルたちの中から超越的な成績を残す投手が現れないというのも大事な要素になるのだろう。そういった意味で、WBCが控えている来季はチャンスかもしれない。スキーンズ、ローガン・ウェッブはすでにアメリカ代表の一員としての参加を表明し、サンチェスもドミニカ共和国の主戦格として出場の可能性が高い。

 もちろん同じくWBCでの登板が予想される山本がコンディションを保つのが絶対条件。前回大会も経験している背番号18は、これまで通りの安定したパフォーマンスで好成績を残さねばならない。その上で、春から緊張感あふれる舞台で登板する他のエースたちが少々数字を落とすようなことがあれば、山本のサイ・ヤング賞争いへの追い風になる。

「実際に会うと、ヤマモトは思ってるほど大きくはなかった。それこそがベースボールの素晴らしいところだと思う。サイズなんて関係ない。どれだけ大きいか小さいかなんて関係ない。大切なのは、マウンドで結果を出すこと。彼はそれをやり遂げてきたんだ」

 2年連続でア・リーグのサイ・ヤング賞を獲得したタリク・スクーバルは昨季途中に、山本をそう評していた。

 実際に身長175センチと小柄な27歳がパワー全盛の現代メジャーで活躍を続け、投手にとって最高の賞を受賞するようなことがあれば、後世にメッセージを送ることになる。そのための絶好期が訪れそうな来季。ドジャースのエースから目が離せない。

[取材・文:杉浦大介]

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