開幕直前インタビュー DeNA・筒香「満員のファンの皆さんが応援してくれる環境でプレーできる幸せ。勝ってみんなで喜びたい」
開幕を直前に控え、横浜DeNAベイスターズ・筒香嘉智選手(26)に独占インタビュー。侍ジャパンの4番を務める球界屈指の強打者はプロ9年目でまだ優勝経験がない。昨年はクライマックスシリーズ(CS)を勝ち抜いて日本シリーズ進出。今年は98年以来20年ぶりのリーグ優勝を目指す。低迷期を味わったからこそ抱く勝利への渇望、主将として常勝軍団構築への思いなどを語った。
――開幕を控えて今の心境は
「いよいよ始まるなという感じですね」
――今年は両膝の曲げる角度が浅い打撃フォームに変化したが
「体が変わっていくので打撃フォームを変えたというより、自然に変わっていったという表現が正しいですね。12、1月の自主トレ期間中に色々考えて行く中で、これがいいなとかあれがいいなとか。(シーズン中も)もちろん変わる可能性はあります。すぐには変えないですよ。色々考えていく中で決断していく。別に変わることを恐れていないので。(オープン戦の調整は)全て想定内。想定外のことは起きていないです」
――今年の自身のテーマは
「静かにやります。今年は黙ってチームのためにと思っています」
――識者の順位予想でDeNAの下馬評が高い
「それだけの実力がついてきたとみている人がいるのは事実ですし、チームとしてはいいことだと思います。ただどのチームも警戒しないといけない。他チームもレベルは高いですし、どこの球団が急に出てくるかわからない。評判が高いチームもどうなるかわからないですし」
――15年に主将に就任して今年が4年目になる
「主将1年目はほとんど何もしていないです。前主将だった石川(雄洋)さんに助けてもらってばかりいた。2年目からですね。主将らしいことをちゃんとやりだしたのは。自分優先になるのは理解できるけど、チームのことを考える選手が多ければ多いほど、みんながここぞという時に力が出る。そういう思いでチームのことはずっと考えていましたね」
――昨年はCSを勝ち抜いて日本シリーズ進出。振り返ってみてどうだったか
「一昨年はCS(のファースト・ステージ)で巨人に勝った時はうれしかったですけど、(ファイナル・ステージ)広島に負けた悔しさがあった。昨年はCSで勝ったけど、日本シリーズで負けた悔しさの方が大きかったです」
――日本シリーズで戦ったソフトバンクについて
「もちろん選手の力の差はあると思います。ああいう舞台でいつもやっていることができない弱さだったり。ソフトバンクと力の差は正直感じましたね」
――それでもDeNAの強さを感じさせる戦いぶりだった
「久しぶりの日本シリーズだったのでファンの方も凄い喜んでくれました。それはみんなの頑張りだと思います。ただ結果が3位だったということを忘れてはいけない。短期決戦はどうなるかわからないし、そこだけでは評価できない。リーグ優勝が一番難しいですし、そこが目標であることは変わりません」
――一今年も2年連続リーグ連覇した広島が難敵になる。DeNAは昨年13勝12敗と対戦カード別で勝ち越しているが
「それ(カード勝ち越し)は別物ですね。広島は強いです。試合の中で『この回行くぞ』という時にきっちり点とる。『ここをきっちり守らないと』というところできっちり抑える。選手全員が考えて(展開を)くみ取って動いている。普段考えないとここぞという時にぶれる。『ここでいくぞ』という時になかなかいけない。選手みんなが考えている分、試合で表現できていると思います」
――DeNAの目指すべきチーム像は
「本当に地力があるチームはレベルが高いので、結果を残すことができる。今年1年だけではいけないと思います。ずっと勝たないといけない。そういうチームにならないといけないですし、みんなが意識しないといけないと思います」
――先発陣に故障者が出ているが、開幕ダッシュに向けて
「143試合トータルで考えなきゃいけないですけど、(春先に)勝つに越したことはない。勝てば勝つほどいい。シーズン中も故障者なしで戦えるチームはないですし、いずれ起きることですから。タイミングが今だったというだけで、何も心配していないです。色々な選手に競争意識も芽生えると思います」
――09年に入団して今年が9年目。まだ優勝経験がない。入団して6年間は最下位が4度、5位が2度と低迷していただけに勝利への飢えは強いか
「やっぱり強いですよ。今試合に出ている選手で(低迷期を)経験しているのはカジ(梶谷)さん、石川さんぐらい。それを経験していないのが悪いとかじゃないですよ。でもその時代を知っている分、勝ちたい思いは僕やカジさん、石川さんは強いと思います」
――連日超満員の横浜スタジアムで試合ができる喜びは
「それはもう本当に強く感じます。勝ちはじめてからファンの皆さんが球場に足を運んでくれるようになったわけじゃない。球団の方々の努力で試合を観に来てくれるようになったことに凄く感謝しています。満員のファンの皆さんが応援してくれる環境でプレーできる幸せというのは、スタンドが埋め尽くされていなかった時期を知っている分余計に感じます。ただ勝たないとファンの皆さんも面白くないと思います。勝ってみんなで喜びたいです。勝った方が楽しいですから」
■編集部からのお知らせ
3月7日に発売の雑誌「CoCoKARAnext」では読売ジャイアンツ・菅野智之投手のインタビューの他、プロ野球選手に学ぶ仕事術などストレスフルな時期を乗り越える情報を掲載。
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]
筒香 嘉智(つつごう・よしとも)
1991年11月26日、和歌山県橋本市生まれの26歳。横浜高では1年春から4番を務める。2年夏に甲子園出場。打率・526、3本塁打の活躍でベスト4進出に貢献。高校通算69本塁打。09年ドラフト1巡目で横浜ベイスターズに入団。10、11年とイースタンで2年連続本塁打王。14年に1軍定着し、打率・300、22本塁打をマークした。主将に就任した15年も打率・317、24本塁打の好成績。オフにドミニカ共和国のウインターリーグに参加した。16年は打率・322、44本塁打、110打点で本塁打王、打点王を獲得。17年WBCで侍ジャパンの4番を務めた。185センチ、97キロ、右投左打。