“ボロボロ”になったマシンで見せた魂のQ3進出 逆転優勝に迫ったフェルスタッペンが「感謝しかない」と絶賛した角田裕毅の自己犠牲

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「彼のおかげで我々は全力を尽くすチャンスを得られた」

 F1公式サイトのフラッシュインタビューで「マックス、ユウキ、そしてチームの皆、今日は本当に素晴らしい仕事をしてくれた」と振り返ったローラン・メキース代表は、角田に対する総評を次のように話している。

「ユウキは1回目の走行でマックスにトウをし、これ以上にない素晴らしい仕事をしてくれた。もちろん、あの走りでポイントは獲得できないが、彼のおかげで我々は全力を尽くすチャンスを得られたんだ」

 チームにチャンスを与えた――。レッドブルで迎えるラストGPで、まさしく救世主と言っていい働きを見せた。では、当の本人はどう感じていたのか。FP3での予期せぬアクシデントを「あれでマシンのフロアを旧式の状態に戻さざるを得なかった。予選前ってことを考えたら理想的ではなかった」と回想した25歳は、こう続けている。

「そういう状態の中で自分には妥協が必要だった。とにかく進出が難しいと覚悟したQ3まで辿り着けて、マックスも助けられたのは本当に良かった。常に目標に据えていたことが出来て、誇りに思う。明日(決勝)はできる限りマックスをサポートしたい。それが僕に残された目標であり、レースの最大の焦点になる。もちろん求められるタスクは単純ではないかもしれないけど、彼が5度目のドライバーズチャンピオンになれるようにサポートする。それこそが僕の最優先事項だ」

 チームから衝撃のシート喪失を告げられてから約4日。テスト兼リザーブドライバーに回り、1年間はF1で戦えなくなる来季に向け、「腹が立った」と語った複雑な胸中は想像に難くない。そうした中で、アクシデントに見舞われながらも、懸命な走りを見せた角田はまさにプロフェッショナル。「人生そのもの」と語るF1での存在価値を証明したと言えよう。

 泣いても笑っても残り1日。フェルスタッペンの大逆転優勝が懸かる中で、角田はいかに有終の美を飾るだろうか。

[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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