金丸夢斗の「10度目の正直」 黄金ルーキーのプロ初勝利が持つ井上中日にとっての“価値”「もう抑えないとこれからはダメだ」
リーグ首位をひた走る阪神打線を相手に粘投した金丸(C)産経新聞社
「10度目の正直」でつかみ取った初勝利だ。
中日は8月7日、本拠地・バンテリンドームナゴヤで行われた阪神戦で8-3と勝利。先発登板した金丸夢斗が8回3失点の好投を見せ、プロ初勝利をマーク。自身10度目の登板でやっとつかんだ「1勝」に、球場は温かい拍手と歓声で祝福した。
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初勝利までの道のりは長かった。
まず、ドラフト1位での入団直後は、大学4年時に痛めた腰のコンディションに気遣われ、春季キャンプも2軍スタート。首脳陣は慎重な調整に終始させた。
3月にシート打撃登板、そして2軍戦でデビューと着実にステップを踏んだ。そこからはトントン拍子に進み、「こどもの日」の5月5日、本拠地でのDeNA戦で金丸は、ついにプロ初登板初先発。この日は6回2失点で敗戦投手になるものの、最速152キロの速球を軸に8奪三振を記録。上々のデビューを飾った。
この感じで行けばすぐに初勝利はできるだろうと思われたが、現実はそう甘くなかった。
中10日から徐々に登板間隔を詰めつつ、投げた日はほとんどがクオリティー・スタート(6回自責点3以下)をクリア。7月の3登板は7回、7回、8回を投げても援護に恵まれず。結局、前半戦は8試合に投げて0勝(4敗)、防御率2.41で終えた。
後半戦最初の登板、7月31日の巨人戦は甲斐拓也に3ランを浴びるなど6回途中6失点。そうした中で迎えた今回の阪神戦は真価を問われるマウンドだった。2度も続けて失態は演じられない。しかし、相手は首位を独走する阪神。破壊力といやらしさを兼ね備えた打線を初めて相手にした。
実際、一筋縄ではいかなかった。援護点をもらってもすぐに失点するのが3イニング続いた。追い込んでからの決め球の甘さや、ピッチャーゴロをうまく捕れないのはこれまでと同様。ただ、一つ良かったのは、いずれのイニングも最少失点にとどめたこと。5回に背負った二死一、三塁のピンチは森下翔太を三塁ゴロに抑え、初回以来の無失点でしのいだ。その裏に味方がバッテリーミスから2点を奪って、試合の趨勢を決めた。
6回からの3イニングは三者凡退を続けた。5点のリードはこれまでになく、金丸自身も伸び伸びと投げていたように思う。野手陣も好守備で応え、ファンとしては見たかった光景をやっと見られたのではないか。






