金丸夢斗の「10度目の正直」 黄金ルーキーのプロ初勝利が持つ井上中日にとっての“価値”「もう抑えないとこれからはダメだ」

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井上監督も漏らした苦悩

 8回の打席で代打が送られて交代。10度目の初勝利チャレンジは8回6安打3失点。6つの三振を奪って、四死球はゼロ。最少失点でしのぎ切ったのは「四死球ゼロ」が大きかったのかもしれない。

 9回はウンベルト・メヒアが無失点で締めて、金丸のプロ初勝利が確定した。ベンチでナインを迎える時は満面の笑顔。上林誠知からはハグでお祝いされていた。スタンドには登板全試合で観戦を続ける両親がおり、ともに涙目で拍手。心からホッとしたのだろう。

 お立ち台に立った金丸は、緊張で時折声を詰まらせながら「やっと今日勝つことができてよかったです」と振り返りつつ、「もう抑えないとこれからはダメだと思うので」と早くも視線は次の登板に向かっていた。

 そんな金丸を1軍で起用し続けた井上一樹監督も「勝てなかったというところに関しては責任を感じていましたけど」と苦悩を明かしながら、「頑張ってここまでやってくれた」と自ら引き当てた金の卵の白星を賞賛した。

 この1勝は本人、チームにとって大きい。他球団の新人が初勝利を挙げるたびにファンはやきもきしていたし、やっと通常運転で進められるはずだ。これから何度も勝利に導いてくれるだろう。

 2025年8月7日。将来のドラゴンズを背負って立つ存在が刻んだ一歩を忘れない。

[文:尾張はじめ]

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