“スターへの階段”を登る郡司裕也 CSファイナルSで見せた覚悟と成熟
さらには守備でも見せ場を作った。再び勝ち越された直後の5回裏、二死満塁から柳町達の強烈なゴロを身体で止め、三塁に走ってきた二走の周東佑京をタッチ。判定はセーフとなったが、リプレー検証の結果、アウトに覆された。
正直、捕球後の判断としては一塁か二塁に送球するのがセオリーで、三塁ベースを踏みに行くのは捕球位置的に微妙なところだった。その方向に動いてしまったのは仕方ないので、次善の策として走者の身体にタッチしに行ったのは好判断だったとに思う。
9回の打席はフォークを見極めて、3ボールナッシングまで持ち込んだ。ここまでは良かったが、その後の杉山一樹のボールがえげつなかった。三振してしまうのも無理もない。結果、チームはあと一歩で日本シリーズ進出を逃した。三塁ベンチで唇を噛み締めながらも拍手を送る郡司の姿が印象的だった。
今季は春先に不振に陥るも、終わってみれば2年連続で10本塁打&100安打をクリア。規定打席こそわずかに届かなかったが、打率とOPSはそれぞれ昨季より上昇。ユーティリティ性にも磨きかがかり、新庄野球に欠かせない選手の一人になっている。
新庄監督はファーストS前に自らのInstagramにて「ボスも昭和の郡司君としてやらせてもらってました」と、自らのキャリアを踏まえた「スター育成論」を披露。多くのポジションをやりながらレギュラーをつかみ、固定されていくという過程だ。郡司もその最中にいるのだろう。
来季の日本ハムは、優勝と日本一が至上命題になる。そこに対して郡司がどう貢献して、スターへ駆け上がっていくのか。まだシーズンが終わってばかりだが、楽しみになってきている。
[文:尾張はじめ]
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