糖尿病の治療 ― 食事・運動・薬で血糖をコントロールし、合併症を防ぐ

タグ: , 2025/11/9

「池尻大橋・三宿・駒場の整形外科・内科「池尻大橋せらクリニック」(https://sera-clinic.com/)」

はじめに

糖尿病の治療の目的は、「血糖値を下げること」だけではありません。

それ以上に大切なのは、動脈硬化や神経障害などの合併症を防ぐことです。

そのためには、血糖・血圧・脂質・体重といった多面的なコントロールが必要になります。

この記事では、糖尿病治療の3本柱(食事・運動・薬物療法)を中心に、治療の流れと当院の取り組みをわかりやすく解説します。

【関連記事】糖尿病の初期症状とは? ― 早期に気づくためのチェックポイント

1. 治療の基本 ― 「血糖を上げない生活」をつくる

糖尿病治療の中心は、食事療法と運動療法です。

これらで改善しない場合や、合併症リスクが高い場合に薬物療法を併用します。

食事療法

食事のポイントは「糖質を摂りすぎず、バランスを整える」ことです。

・主食:白米やパンは控えめに、雑穀米や玄米へ

・主菜:肉・魚・大豆をバランスよく(脂質を控える)

・副菜:野菜・きのこ・海藻で食物繊維を摂る

・果物:果糖が多いので1日80〜100kcal以内に制限

・飲料:甘いジュース・缶コーヒーは避ける

・糖質の吸収を緩やかにするために、**「野菜から食べる」**順番も効果的です。

運動療法

運動は、血糖を下げるだけでなく、インスリンの効きを良くします。

・有酸素運動:ウォーキング・ジョギング・自転車などを1日30分

・筋力トレーニング:スクワット・腕立てなどを週2〜3回

血糖コントロールだけでなく、脂肪肝(MASLD)や高血圧・脂質異常症の改善にも有効です。

2. 薬物療法 ― 血糖コントロールを補助する

食事・運動で改善が不十分な場合は、薬を併用します。

薬にはさまざまな種類があり、血糖を上げる仕組みに合わせて使い分けます。

(1) ビグアナイド系(メトホルミン)

・肝臓での糖新生を抑え、インスリン感受性を高める

・副作用:胃腸症状、まれに乳酸アシドーシス

・日本人でも第一選択薬として推奨(JDS 2024)

(2) SGLT2阻害薬

・尿中に糖を排出して血糖を下げる

・体重減少・血圧低下効果もあり、肥満や高血圧合併例に有用

・脱水や尿路感染に注意

(3) DPP-4阻害薬

・インクレチン(GLP-1)の分解を防ぎ、食後血糖を抑制

・低血糖リスクが少なく、日本で広く使用

(4) GLP-1受容体作動薬(注射/経口)

・胃排出を遅らせ、食欲を抑える

・体重減少効果があり、肥満糖尿病に有効

・近年は週1回注射や経口タイプも登場

(5) SU薬・速効型インスリン分泌促進薬

・膵臓からのインスリン分泌を促進

・食後高血糖を下げるが、低血糖リスクに注意

(6) インスリン療法

・膵臓が疲弊しインスリン分泌が不足した場合に使用

・血糖自己測定と組み合わせてコントロール

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