糖尿病の診断基準 ― 新しい基準と変遷を踏まえて理解しよう

タグ: , 2025/10/15

3. 診断時に注意すべきポイント・限界

・HbA1c の影響因子:貧血、腎機能低下、赤血球寿命異常などが HbA1c を誤判定させる可能性があります。

・空腹・OGTT検査の環境依存性:食事制限状況や検査準備が結果に影響を与える。

・境界型(前糖尿病)との扱い:空腹時血糖 100–125 mg/dL や HbA1c 5.7–6.4 % は前糖尿病(糖尿病予備軍)として扱われ、将来的な発症リスクが高いとされます。

・典型症状を伴わない高血糖:自覚症状がなくても検査で陽性になる例が多く、見逃しリスクがあります。

まとめ

・現行の診断基準は、空腹時血糖値・OGTT値・随時血糖・HbA1c を用いて判断。典型症状を伴う場合は一度で確定可能。

・過去には HbA1c 非導入や空腹時血糖上限の見直しといった変遷があり、最近は「複数基準の組み合わせ」が強調されている。

・HbA1c には影響を与える因子があるため、単独では判断できないケースもある。

参考文献

1.日本糖尿病学会. 『糖尿病診療ガイドライン2024』

2.日本糖尿病学会 “診断の指針” PDF

3.糖尿病標準診療マニュアル2025(診断基準記載)

4.ADA “Diagnosis and Classification of Diabetes”

5.New diabetes diagnosis criteria including HbA1c (厚生労働省資料)

[文:池尻大橋せらクリニック院長 世良 泰]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

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池尻大橋せらクリニック院長・世良 泰(せら やすし)

慶應義塾大学医学部卒。初期研修後、市中病院にて内科、整形外科の診療や地域の運動療法指導などを行う。スポーツ医学の臨床、教育、研究を行いながら、プロスポーツや高校大学、社会人スポーツチームのチームドクターおよび競技団体の医事委員として活動。運動やスポーツ医学を通じて、老若男女多くの人々が健康で豊かな生活が送れるように、診療だけでなくスポーツ医学に関するコンサルティングや施設の医療体制整備など幅広く活動している。

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