社会人野球引退後27歳から挑戦、大友良浩弁護士の仕事論
2017.07.20
今回ご登場頂くのは弁護士の大友良浩さん。立教大学が六大学野球で前々回優勝した時のメンバーで、今年優勝に導いた溝口智成監督とは大学、社会人(リクルート)でもチームメイトです。27歳まで社会人野球でプレーし、会社を辞めて弁護士になった異色の経歴。どのようにして司法試験を合格したのか、またストレスとの向き合い方、問題解決等についてお話を伺いました。
27歳で社会人野球引退、そこから勉強して弁護士に
― 大友先生は六大学野球の立教大学硬式野球部で選手として活躍、その後リクルート社で27歳まで社会人野球で活躍し、そこから会社を退社して司法試験に合格されて弁護士に。かなり異色の経歴ですね。
社会人になる時は野球をやる事しか考えておらず、それで会社に入ったので、それ以外のことはあまり考えていませんでした。現役を続けようと思えばまだまだ続けられたと思うのですが、自分で将来どうしょうかな?と考えた時に、色々な選択肢がある中で、資格でも取ろうかな、と思ったんです。
― 資格は資格でも、それが弁護士って言うのは凄いですね(笑)。
実は私は理系出身で、理系の人が取る資格代表的なものとして弁理士があるのですが、それも含めて色々と考えていたんです。
でも、どうせなら一番難しいのを取ろうと。調べたら司法試験を通れば弁理士資格も取れることが分かったので、当時はあまり深く考えず「やってみるか」くらいでした(笑)。
会社を辞めてから合格まで3年かかりました。当時はロースクールもなく1年に一度試験があるだけでした。いくつかステップあるのですが、論文試験が一番難しかったですね。
一年目は択一試験すら受からず、「これはマズいなぁ」と思い、そこから受かるためにどうしたら良いか真剣に考えるようになりました。過去問で傾向を分析したり、合格経験者にアドバイスを求めたり、そんな感じでしたね。
今の事務所に入所してからずっといて、アソシエイトから始めて、今はパートナー弁護士としてやっています。
― 会社辞めて、司法試験受かるまでって不安だったり、孤独だったりしませんでしたか?
会社辞めてから合格するまでに3年かかりました。それでも1日1時間くらいは気分転換で運動を続けていました。まー、勉強は10時間くらいしていましたが(笑)。
寝ないと効率悪いし、若い時から徹夜とかできないタイプなんですよ。だったら寝て、朝早くやった方が良いや、と考える人です。
もちろん、若い頃は終電になっても帰れない時もありましたが、やはり子供が生まれてから変わりましたね。朝早く仕事を処理する感じに変わりました。仕事のやり方も生活と共に変わってきました。
― この仕事を目指した時と、実際この仕事を始めてからで、何かギャップはありましたか?
泥臭いな、と言うのが一言で言うとありますね。事実関係を拾うのが大変ですね。それと証拠を集めることです。テレビ番組で見る華やかな部分はあったとしても本当に最後の最後だけで、あとは地道で泥臭いですね。
― この仕事をして良かったところは?
やはり、困って相談してきたクライアントが問題を解決できて、笑顔で帰る姿を見る時がうれしいです。
自分がコントロールできない事にヤキモキしない
― ストレスとの向き合い方とかコツはありますか?
うまく行かない時に色々と考えたりしますが、あまりストレスを考えないと言うか、感じないようにしているのかな。
弁護士になりたての頃は、世の中の仕組みすら知らなかったので、まずはそこから覚えて行く感じでしたね。例えば、お金の流れとかそう言う事が分からないと、これおかしいなとかに気付かないですしね。
今は特許や商標などの知財とか顧問先の企業の法務等が多いですね。
会社が相手だと理論で解決できることが多いのですが、これが個人の案件、例えば離婚とか相続とかになると相手方の感情等も入ってきて難しいですね。法律的なことだけでは解決できないことが多く、その辺にも配慮しながら進める必要がありますね。
― 落ち込んだ時にどうやって、自分を持ち上げて行くんですか?
結局、自分がやれることは精一杯やるし、自分のやれる範囲のことをやるしかないので、自分のできないことでヤキモキしていても仕方ないと思っています。自分がコントロールできないところでヤキモキしていても仕方ないので、自分がコントロールできるところで一生懸命やることですかね。
あれどうしよう、これどうしようって心配しても仕方ない、って割り切るしかないですね。
気にはしているけど、自分が頑張ってどうにかなるところじゃない所をあれこれ考えても前に進まないので、自分のできることに集中する、と言う感じですかね。良い流れになるように、外堀を埋めて行くような作業も必要なのかもしれませんが。
業務は基本的に、どのように決断のサポートができるかと考えています。クライアントに対して、選択肢をいかに提供してあげるかですかね。
親身になって解決に向かって一緒に取り組むのですが、冷たい意味ではなくて、ある程度客観的に第三者的にアドバイスできるようにしています。
悩みは一人で抱えない、とにかく相談する
― 悩み事を抱えた方々が弁護士の先生に相談に行くと思いますが、そういう方々を見てきて何か共通する大事なことなどありませんか?
一人で抱え込まない、ということが大事だと思います。誰かに話した方が気も楽になると思います。一人で考えても、ドンドン悪い方に考えてしまうし、誰かに話せば色々な案が出て来て解決の道が見えるかもですし。相談ができる関係を作ることが大事ですね。
私も何か行き詰まったら仕事の事であれば同僚に、その他は家内に相談しますね。やはり、色々と相談できる人が多いに越したことはないですね。
― 理不尽なことへの対処なども出てくるかと思います。
それは体育会で育ったので、元々免疫があります(笑)。
大学の時は2年、3年と優勝したのですが、当時立教大学が優勝したのは23年ぶりでした。自分が生まれる前じゃないですか。その優勝する前の夏の練習をかなり追い込んで練習して、かなり走ったりして、それで結果が出た。やればできるとか安易なことを言うつもりはないですが、でもやらないとできないよね、と言うことです。う~ん、「だから司法試験もなんとかなるんじゃん?」と思いました(笑)。
成功体験って大事ですよね。僕の中で優勝したことが大きい。それで試験もなんとかなるんじゃないか、と思えた部分はあります(笑)。
大友良浩さんのストレスや疲れとの向き合い方、社会人野球を27歳で引退して司法試験に合格したストーリーを、2017年6月28日発売の「CoCoKARAnext」(全国書店)に掲載。併せてご覧ください!
大友良浩(おおとも・よしひろ)
1969年12月19日生まれ、神奈川県出身。1992年3月、立教大学物理学科卒業。在学中は硬式野球部の一塁手として六大学野球2度の優勝を果たす。卒業後は株式会社リクルートに入社し、社会人野球で活躍。1997年6月に退職、2000年11月に司法試験合格。
はる総合法律事務所に所属。特許侵害訴訟等の知的財産業務、顧問先の契約管理、労働問題、海外における合弁会社設立や企業の社外役員等の企業法務を中心に、離婚、相続、交通事故の損害賠償請求などの経験に基づき、多種多様な業務を取り扱っている。