【講演録】元MLB・岩村明憲 チャンスを掴むのに必要なものとは?

2017.07.11

「実は高校生の時、キャッチャーだったんです」

― 守備が上達したワケは?

 プロに入団して、初めてサードというポジションを守りました。大橋コーチに色々教えてもらいながら、守備の上達を感じました。本当に下手で、1イニングに3つエラーした事もありました。イニングがチェンジになって、ベンチに帰る時に、ピッチャーに顔合わせができないし、「自分のベンチに帰るより相手ベンチに帰ったら、ヒーロー扱いしてくれる」って心の中で冗談で思っていました(笑)。それでも、これは乗り越えなきゃいけないと思い、僕は18歳の時に頑張って自分のベンチに戻った事を記憶しています。
 あの頃から、1日最低250本のノックを受けて、基本練習からやった結果、6回のゴールデングラブが取れたんですね。

 その一番の恩人は、大橋コーチです。この方がいたからこそ、自分の守備力が、のちに2008年からアメリカ メジャータンパベイレイズでもセカンドに変更することできました。開幕から85試合ノーエラーだったんです。そこで、僕が感じたのは、守備というものはやったら、やっただけ上手くなるということです。タフじゃないとやっていけないんです。

アメリカでも非常に助けられた「タフさ」の原点

 実は、先ほど話した4イニング投げて疲れたという話に戻りますが、地元の3つ上の先輩の元プロ野球選手でオリックスと中日で活躍された平井正史さんという方がいます。平井さんは、抑えで投げても投げても「僕どこでも投げますよ」というし、がっつり投げてもそのあとにウエイトトレーニングをして、食事をして、お酒飲んでまた切り替えて。
 「タフじゃないとプロ野球選手やってられないよ」と教えてもらいました。このタフさがアメリカに行った時に非常に助かりました。

 メジャーで経験したのは、53日間の中で、52試合あったんです。日本のプロ野球は、長くても9連戦ですよね。タンパベイにいた時は、最低でも移動時間が飛行機で3時間のボルチモアでした。一番長いのは、マイアミからシアトルまで6時間半...

 タフで、何苦楚魂の精神がないとやっていけないんです。

― 何苦楚魂の精神とは?

 この言葉は、師匠の中西太打撃コーチからいただいた言葉なんです。
 何事にも苦しむことが、礎(いしずえ)となる。苦しんだことは、苦しんだだけ土台になるということです。そうすれば後に大輪の華を咲かせるという意味です。耐えること、相手に立ち向かうことも大事だと思います。みなさんも若い方にぜひ何苦楚魂を教えてあげてほしいし、何苦楚魂の精神をみなさんに知ってもらいたいです。

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岩村明憲(いわむら・あきのり)

1979年2月9日、愛媛県宇和島市出身。
1996年のドラフトでヤクルトスワローズから2位指名を受けて入団。
2000年にはレギュラーに定着、初のゴールデングラブ賞も受賞した。2001年には自身初のオールスターゲームにも出場。日本シリーズでは優秀選手賞に選ばれ、4年ぶりの日本一に大きく貢献した。2006年には第一回WBCの日本代表に選出され、日本の第1回大会優勝に貢献した。またシーズン終了後には、タンパベイ・デビルレイズへ移籍。翌2008年には球団史上初のポストシーズン進出、地区優勝、リーグ優勝、ワールドシリーズ進出に貢献。2009年には2大会連続でWBC日本代表に選出され、日本の大会2連覇に大きく貢献した。2011年からは日本に復帰。楽天、ヤクルトでプレーしたあと、2015年から福島ホープスの選手兼任監督に就任。2016年からは球団代表兼監督兼選手として活躍。

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