元楽天野球団社長・島田亨さん 疲れやストレスとの向き合い方(後編)
2017.07.06
疲れ切っている状況の中で大事な判断、決断をするには
― そのようなコンディショニングの中で大事な決断、判断、勝負の分かれ目の交渉、仕事もあったかと思いますが、燃料切れ寸前の状況、良いコンディションを保つのが難しい状況でどのようにされていたのですか?
全ての事を自分が勉強して、自分の価値基準、判断基準で判断しないといけない人というのは、自分のパソコンでいうCPUのコンディション次第でブレてしまうかと思います。それに対して、私は「その時に、その事に関して最適、最高の判断をできる人は誰なのか?」と言う事を選んで、その人に「何でその判断をするのか?」と言う事を聞いて、それで判断します。
なので、私のCPUとかそのコンディションはあまり関係ないんです。
もしかしたら、その人は世界における、そのジャンルの最高権威ではないかもしれないけど、少なくとも自分達の組織の中でそのジャンルでは最高と思われる人に相談して決める。自分で全ジャンルを勉強して判断するのでは間に合わない。無理です。基本的にはその人を信じて、何故その判断をするのか、背景をしっかりと聞いて判断します。なので、自分のCPUやクリエイティビティは関係ないんです。CPUではなく、メモリーが大事だと思います。CPUは自分達の組織にいるメンバーだと思うんです。
CPUは他の人の良い性能を頼って、借りてしまうと良いと思います。自分じゃなくてはいけないポイント、自分でなくても良いポイントと分けています。
― 忙しさとは重なるモノです。
メモリーが詰まってしまう状況は良くないです。PCで言うと、ローディング状態が長くなってきたような。そういう状態になる前に、しっかり自分の役割、他の人の役割を認識して、自分がやるべき事と、そうではない事と分けて考えるべきでしょう。
― よく経営者の方は、「何をやるかより、何をやらない事を決める力の方が大事」とおっしゃる方が多いです。
その通り。何をやらないかを決める力が大事。そりゃ、全てやった方が良いに決まっている。だけど、その中で本当はやらなくても良い事もあるので、それを見極めて「何をやらないか」を決めるのがポイントだと思います。「やらない事」を決めるのは難しい。でも、それを決める力がすごく大事。
「固執しない」からストレスとは無縁
― ストレスとの向き合い方について。
「ストレスな環境に自分を置かない」と言う事が大事でしょうね。
何も「今すぐ会社を辞めましょう」という事を言いたいのではなく、自分がやりたくもない仕事をひたすらやらされる、これはストレスですよね。
自分の働きかけ方、マインドセットの仕方で、それ次第でストレスな環境ではなくなると思います。ゴールを見据えながら、日々ショートタームの目標をどうクリアしていくか毎日やっていけば楽しくなると思います。そう、ジグソーパズルをやっていく感じですよね。全体像を楽しみにしながら。
他人と比較しないからストレスを感じない
私は競争するタイプの経営者ではなく、課題を解決していくタイプ。他人との比較はあまりしないですかね?
人と比較しないからストレスとか困難ってあまり感じないのかもしれませんね。自分のベスト、ベターを目指す。人を意識すると、人より何が優れているか、劣っているとか、人とのギャップをどう埋めるかとかに意識が行って、きっとそれがストレスの源だと思うんですよね。
自分が設定した目標に対して課題を解決していくというスタイルにすると、大変は大変ですが、あまりストレスは感じないんだと思うんですよね。
人によってタイプは違うと思うんですが、私がそれやったら死んでしまうと思います(笑)
私は何かマイナスな事があっても、それに対して「固執しない」と言うふうに考えています。「忘却力」と言うんですかね?ダメなものは仕方ない。
もし仮に読者の方がストレスフルな環境、箱にいらっしゃるんだとしたら、別にその箱から逃げなくてもそれは本来は自分で変えられるはず、と言うのが大前提です。そう考えるのが大事、大前提です。
嘆いて、イジイジしていても仕方ない。何も解決しない。誰でも前に進みたい欲求の方が強いはずです。
無責任な意味ではなく、「まー、楽しくやろーよ」と言う感じですかね(笑)
島田亨さんのストレスや疲れとの向き合い方、逆境力、課題解決方法が、2017年6月28日発売の「CoCoKARAnext」(全国書店)に更に詳しく掲載。併せてご覧ください。
6月28日発売の雑誌版「CoCoKARAnext」の島田亨さんのインタビュー誌面で、以下の訂正がありましたのでお詫びと訂正を致します。
誤) 株式会社U-NEXST
正) 株式会社U-NEXT
誠に申し訳ありませんでした。
島田亨(しまだ・とおる)さん
1965年3月3日、東京都文京区出身。東海大学卒業後、1987年4月株式会社リクルート入社。1989年6月、株式会社インテリジェンス(現:パーソルキャリア株式会社)を創業。2004年12月には株式会社楽天野球団代表取締役球団社長に就任するなど、実業家として各種企業で経営に携わる。現在は株式会社U-NEXT副社長。