誰もが信じたエースの涙 「最後の1点」を決めるために、石川祐希は代表の中心であり続ける【パリ五輪】
石川は「力不足だった」と自分を責めた(C)産経新聞社
あと1点、文字通り、勝利まであと1点に迫っていた。
1、2セットを連取した日本は第3セットも山本智大の好レシーブから石川祐希が決め、24-21。マッチポイントをつかんだ。しかしイタリアはここから脅威の粘りを見せる。
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シモーネ・ジャネッリのサービスエースで24-24の同点とし、デュースを制し25-27で第3セットを奪取。4、5セットも同様に競り合いが続いた終盤、日本は1点が取り切れず、イタリアは1点を取らせなかった。
13-14、イタリアが先にマッチポイントとした後、石川のスパイクで取り返しデュースとし、小野寺太志のサーブから再び石川が決め15-14。最後の最後に再び、日本がマッチポイントに到達する。
あと1点――。
だがその1点が遠かった。
小野寺のサーブがネットにかかり、アレッサンドロ・ミキエレットのショートサーブを髙橋藍がレシーブし、攻撃枚数が絞られたところで石川のスパイクがブロックに阻まれる。再び抜け出したイタリアが、最後はネット際の攻防を制し15-17、男子バレー日本代表のパリ五輪は準々決勝で幕を閉じた。
1次リーグを8位通過。1勝、1点を取るのがどれほど難しいか。他の国際大会とは違う、と言われ続けるオリンピックの厳しさを日本代表も実感してきた。
中でも苦しんでいたのが石川だ。日本の大黒柱である石川の調子が上がらず、準々決勝進出を果たしたものの、石川の状態を案ずる声は少なくなかった。そしてベスト4をかけて戦う相手がイタリアと決まる。勝つためには石川の爆発力は不可欠だ、と言われる中、まさに見たかった石川の姿を準々決勝では見せつけた。