中日目線で見る阪神独走V 劣る部分は多々あれど、短期決戦なら…?

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本塁打王を独走する佐藤をはじめ、阪神の1~5番はいずれも安定感ある働きを維持した(C)TakamotoTOKUHARA/CoCoKARAnext

 強さを感じさせる優勝だった。

 今季のセ・リーグは阪神が2年ぶりのリーグ制覇。藤川球児監督は就任1年目でありながら、卓越したタクトで頂点に導いた。

 9月7日のV決定は2リーグ制以降では最速。つまりは他の5球団の追随が許されなかった優勝でもある。本稿では中日ドラゴンズの目線で阪神優勝を見ていきたい。

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■主力選手の固定ができたか、できなかったか

 一番の違いは主力選手の固定、ケガ人の少なさだろう。

 阪神はシーズン通して、1番の近本光司から中野拓夢、森下翔太、佐藤輝明、大山悠輔とほぼ固定。5人ともリーグ有数の成績を残しており、故障による離脱は皆無。2年前の優勝も彼ら5人が原動力となっており、成熟した姿を見せられた格好だ。

 一方、中日は攻守のキーマン・福永裕基が故障で2度の長期離脱。主砲・細川成也、ジェイソン・ボスラーもそれぞれ2週間〜1か月程度の離脱があり、ベストメンバーを組む機会はこれまでなかった。また、開幕4番を務めた石川昂弥が極度の不振に陥り、遊撃レギュラー候補1番手の村松開人は故障から感覚を取り戻せぬままシーズン終盤を迎えている。

 他球団でも巨人・岡本和真、ヤクルト・村上宗隆、DeNA・牧秀悟など、主力級の長期離脱が目立った2025年。ゲームチェンジャーが現れない状況下では、阪神が独走するのは必然だったのだろう。

■リリーフ陣の質の違い

 投手陣ではリリーフ陣の充実が際立っていた。

 なんと言っても、石井大智が驚異の防御率0.18(9月8日現在、以下同)。48試合連続無失点の日本記録を樹立する大ブレークを果たした。及川雅貴はリーグ最多の60登板でありながら、防御率0点台をキープ。岩崎優も2年ぶりの30セーブ到達と、盤石の勝ちパターンを形成している。

 他にも国指定の難病から復活した湯浅京己、サウスポーの桐敷拓馬、復帰したラファエル・ドリスも活躍。チーム防御率は断トツの2.12と、先発陣も含めて攻略困難な陣容を揃える。

 一方、中日も長きにわたりブルペンの充実が強みだったが、今季は少し差をつけられている印象だ。

 松山晋也は抑え1年目で40セーブに迫る大活躍を見せるも、シーズンが進むにつれて勝ちパターンの固定が困難に。清水達也、藤嶋健人は奮闘しているが、肝心要の場面で痛打を浴びる試合も見られた。左腕の橋本侑樹も開幕から快投を続けるが、8月以降は打ち込まれる場面が増え、2軍との行き来が増加。ここに来て、ライデル・マルティネス(巨人)の流出が効いてしまっている格好だ。最終盤に向けて救世主が現れてほしいのが本音である。

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