「これは不公平だ」――大谷翔平、1試合3発&10奪三振の衝撃 野球の概念を破壊した“王”の降臨【ドジャース回顧録vol.13】
大谷の活躍に「史上最高」の声が広まった(C)Getty Images
2025年10月17日。我々は、野球というスポーツの限界が打ち破られた瞬間を目撃した。
リーグ優勝決定シリーズ第4戦。マウンドで10個の三振を奪い、打席で3本のアーチを描く――。マンガの世界ですら描ききれない異次元のパフォーマンスで、ドジャースを2年連続のワールドシリーズへと導いた大谷翔平。全米が「史上最高」と絶賛した伝説の夜だった。
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この試合を迎えるまで、大谷は苦しんでいた。ポストシーズン打率.158。本来の姿からは程遠い数字に、周囲では不安の声も漏れ始めていた。しかし、稀代の天才にとって、その沈黙は嵐の前の静けさに過ぎなかった。
「1番・投手兼DH」としてマウンドに上がった大谷は、まず投手として圧巻の立ち上がりを見せた。三者連続三振で自らリズムを作ると、その直後の初回の第1打席だった。
かつての同僚ホセ・キンタナが投じたフルカウントからの6球目。完璧に見極めたスラーブを捉えた打球は、右翼席最上段へと突き刺さるポストシーズン3号ソロ。この一撃が、ドジャー・スタジアムを支配する「大谷劇場」の幕開けとなった。
一度火がついた背番号「17」を止める術は、もはや存在しなかった。4回の第3打席、チャド・パトリックのインコース低めを「軽々と」拾い上げると、打球は右翼席を越え、場外へと消えていった。





