平石監督、嶋基宏の退団から考える「東北の宝物」と新規参入からの15年
「本当に仙台が好きですし、宮城県、東北が好きです。楽天に来て15年ですけど、選手であったり、スタッフであったり、球団職員の方であったり、またファンの皆さんであったり、本当に思い入れは誰にも負けないくらいの思いを持ってますけど。そんな私でも退団する決心をした。それが全てだと思います」
指揮官から放たれた強い言葉に、ため息をもらしたイヌワシ党の方々も多いのではないでしょうか。
東北の宝物が、壊れてしまうのではという危機感
楽天一筋15年のたたき上げ、平石洋介監督が10月15日、退団の意思を表明しました。
PL学園から同志社大、トヨタ自動車とアマ球界の王道を歩んできた男は04年秋のドラフト会議で、新規参入したばかりの新興球団・楽天イーグルスから7巡目で指名を受け、入団します。
現役生活7年、指導者に転身して8年、楽天に捧げた野球人生。昨シーズン途中から監督代行を任されると、今シーズンは正式に監督へと就任。最下位だったチームを3位へと押し上げ、CS進出へと導きました。
CSファーストステージでは2位のソフトバンクに敗退したものの、初戦に勝利し、最終ステージの西武や日本シリーズの巨人が全敗だったことから、「ポストシーズンで唯一、ソフトバンクを倒した監督」とも呼ばれています。
ナインからの人望も高く、「Wエース」と期待されていた則本と岸がともに故障でフル稼働できない中で、Aクラスへと引き上げた手腕は評価されてしかるべきです。しかし、そんな若き指揮官に用意されたポストは「2軍統括」というもので、続投のオファーはついに届きませんでした。冒頭のコメントはその際、平石監督から放たれたもの。メディアの中には「事実上の解任」と記す社もあるほどです。
最下位のオリックスや5位の日本ハムですら、監督の続投が決まる中、大胆にチーム改革を進める石井GMの手法には杜の都のファンから疑問の声も挙がっています。
それは05年シーズンから、宮城を中心とする東北6県の人々が思いを寄せ、愛し、育んできた「楽天イーグルス」という宝物が、壊れてしまうのではという危機感とも言えそうです。