10年後のドラフト答え合わせ “批判”が渦巻いた阪神の「未来の4番指名」は見方一変 9位から首位打者を誕生させたDeNAの眼識も評価【セ・リーグ編】
中日に2位指名された京田は、球界でも指折りの名手になるまでに成長した(C)Getty Images
「高校ナンバーワン左腕」が低迷したヤクルトは――
【阪神】
ドラフト会議直後:65点
10年後:90点
会議前に予想された即戦力投手ではなく、大山悠輔(白鴎大)をいきなり1位で指名した当時は、批判の声も多かった。だが、大学日本代表で4番を任されていたように打者としてのスケールは十分で、個人的にはそこまで批判するような指名ではなかった印象があった。ただ2位の小野泰己(富士大)は、正直順位が高く見え、トータルではまずまずの点数におさまっている。
そこからセ・リーグでは最高評価の90点としたのは、やはり大山の頑張りが大きい。1年目の途中から1軍に定着すると3年目以降は不動の中軸へと成長。9年間で1047安打、150本塁打という成績は見事という他ない。加えて大きかったのが3位の才木浩人(須磨翔風)と5位の糸原健斗(JX-ENEOS)だ。
才木は怪我で停滞した時期はあったものの、23年以降はエース格へと成長。25年には最優秀防御率のタイトルも獲得している。糸原もここ数年は代打に回っているが、4度のシーズン100安打を記録するなど内野の一角として活躍した。阪神にとっても大きなターニングポイントとなったドラフトと言えるだろう。
【ヤクルト】
ドラフト会議直後:80点
10年後:65点
1位では、「高校ナンバーワン左腕」の呼び声が高かった寺島成輝(履正社)の単独指名に成功。2位の星知弥(明治大)、3位の梅野雄吾(九産大九産)も150キロを超える本格派で、投手陣の補強という意味では成功した印象を受け、ドラフト会議直後は高い点数をつけている。
しかし、プロ入り後はエースとなることが期待された寺島が低迷。結局1軍では1勝しかあげられずに引退したことで点数を下げた。星と梅野もリリーフでそれなりに成績を残したものの、梅野は現役ドラフトで既に移籍しており、期待通りだったとは言えない結果に終わっている。
4位の中尾輝(名古屋経済大)も2年目に54試合に登板したが、フル回転での起用もあって翌年以降は低迷して21年限りで引退。5位の古賀優大(明徳義塾)が25年にキャリアハイの成績を残したこともあってトータルで見れば、一概に失敗とは言えないが、指名当時の狙いとは異なる結果に終わったために65点とした。
【中日】
ドラフト会議直後:80点
10年後:80点
1位ではDeNAと競合の結果、柳裕也(明治大)を獲得。2位でも大学球界屈指のショートとして評判だった京田陽太(日本大)の指名に成功し、3位以下で将来性の高い高校生を続けるなどトータルで見ても狙い通りの指名だった印象を受ける。
プロ入り後も柳は3年目からローテーションに定着し、5年目には最優秀防御率のタイトルを獲得。ここ数年は怪我もあって少し成績を落としているが、通算51勝は十分に成功と言える。2位の京田も1年目からいきなり149安打を放って新人王に輝くと、5年連続で100安打以上をクリア。22年に大きく成績を落としてトレードでDeNAに移籍したが、期待通りの活躍は見せた。
また、下位指名でも5位の藤嶋健人(東邦)が4年目から5年連続で40試合以上に登板するなどリリーフとして欠かせない存在へと成長。そういう意味ではドラフト会議直後と10年後の結果に大きなブレが最もなかった球団という印象だ。
[文:西尾典文]
【著者プロフィール】
1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間400試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。
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