即戦力拡充の阪神と巨人は上々の評価 一方で中日の指名には疑問点も【ドラフト3段階評価/セ・リーグ編】

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草加を1位指名した中日。好打者の度会を外した立浪監督だったが、投手陣の拡充に努めた。(C)KentaHARADA/CoCoKARAnext

【ヤクルト】
将来性:B
即戦力:B
補強ポイント:A

 近年の課題である投手陣が最大の補強ポイントとあって、上位3人は投手の指名となった。1位の西舘昂汰(専修大)と3位の石原勇輝(明治大)は大学生ながら即戦力というよりもスケールの大きいタイプで、逆に2位の松本健吾(トヨタ自動車)は完成度が高く故障がなければ1年目から一軍の戦力として期待できる。

 それぞれタイプも異なり、また西舘はスタミナ面も充実していることを考えると補強ポイントだった投手については良い指名だったのではないだろうか。2人の野手は即戦力というよりも将来性を感じる指名。捕手の鈴木叶(常葉大菊川)は近い将来、内山壮真とレギュラー争いが期待される大型捕手で、伊藤琉偉(新潟アルビレックスBC)もまだ若く、山田哲人の後釜という意味で面白い。全体的に突出はしていないものの、バランスの良い指名だった。

【中日】
将来性:B
即戦力:B
補強ポイント:C

 度会を外した1位では草加勝(亜細亜大)を指名。2位と3位では社会人のショートを揃え、4位以下では投手を3人獲得した。

 投手陣は、現在の主力こそ力はあるものの高齢化が目立ち、二軍を見ると壊滅的な状態。底上げは必要不可欠だった。ただ5位の土生翔太(茨城アストロプラネッツ)と6位の加藤竜馬(東邦ガス)は完全なリリーフタイプであり、4位の福田幸之介(履正社)も高校生と考えると、イニング数を稼げそうなタイプは草加だけ。そういう意味では人選に少なからず疑問が残った。

 野手も昨年に続いて二遊間のチャンスメーカータイプを獲得。同年代に同じタイプの選手が重なるのは違和感がある。2位指名が12球団トップで、力のある投手や強打者タイプも残っていただけに、もったいなさを感じる指名だった。





[文:西尾典文]

【著者プロフィール】

1979年生まれ。愛知県出身。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究し、在学中から専門誌に寄稿を開始。修了後も主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材。2017年からはスカイAのドラフト中継でも解説を務めている。

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