防御率0点台が示した“支配力” 山本由伸が巨額契約の理由を証明した日【ドジャース回顧録 vol.3】

タグ: , , , 2025/12/29

ブレーブス戦でも圧巻の投球を見せつけた山本。その内容が大きな反響を生んだ(C)Getty Images

 2025年シーズンを改めて振り返ると、山本由伸の投球は一つの結論に行き着く。なぜ打てなかったのかではなく、打てる理由を探す方が難しい投手だったという事実だ。数字は静かに、しかし雄弁に語る。防御率0点台、圧倒的な被打率と奪三振率――巨額契約の理由は結果として明確に可視化された。

【動画】敵打者は呆然…山本由伸が圧巻のコマンド力を発揮した奪三振

 今季のドジャースにおいて、山本由伸の存在感は終始揺るがなかった。メジャー2年目に入った日本人右腕は、環境への適応を遂げ、開幕からシーズン終了まで“打てない投手”としてリーグに君臨した。

 象徴的な試合のひとつとなったのが、現地時間5月2日のブレーブス戦だろう。強力打線を相手に、山本は6回(91球)で被安打1、無失点。6回二死までノーヒットに抑え込む内容で、2–1の勝利を引き寄せた。

 最高スピン量2923回転のカーブと、回転数を抑えたスプリットの落差。平均95マイル台半ばのフォーシーム。正確無比なコマンドを駆使して、両軍最多となる17の空振りを奪った。当時の防御率はメジャー全体トップの0.90。被打率.171、奪三振率11.03という圧巻の指標だ。偶然でも勢いでもない。メジャー球、マウンド、スケジュール、そのすべてに順応した上で、持ち味である制球力と投球術を引き上げた帰結である。

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