逆襲の角田裕毅が見せた気迫の9位入賞 リタイアの危機を乗り越える“激走”をレッドブル陣営も評価「謙虚に学び続けている」
5月のエミリア・ロマーニャGP以来のポイント獲得を果たした角田(C)Getty Images
度重なるトラブルを乗り越え、欲しかったポイントも獲得
逆襲のキッカケとなるのか。現地時間8月31日、F1の今季第15戦、オランダGPの決勝がザントフォールト・サーキットで行なわれ、レッドブルの角田裕毅は今季最高位に並ぶ9番手に入賞した。ポイント獲得は、10番手に入った今年5月のエミリア・ロマーニャGP以来、8戦ぶりだった。
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決して楽なレースではなかった。12番グリッドからソフトタイヤでスタートした角田は、1週目に順位を一つ上げる好走を見せ、20周目にハードタイヤへスイッチ。しかし、23周目にルイス・ハミルトン(フェラーリ)がクラッシュしてセーフティーカーが導入。各車が一気にタイヤを交換を行ったために、早めにピットインを決断したメリットは失われ、15番手まで順位を落としてしまう。
それでも前日に「努力を続けたい」と意気込んでいた角田は粘りを見せ、順位をふたたび浮上させたが、ここでまたもアクシデントに見舞われる。フェラーリのシャルル・ルクレール(27、モナコ)のクラッシュで再度セーフティーカーが出動した53周目を過ぎた時だった。角田は、担当レースエンジニアのリチャード・ウッド氏に無線を通じて「アクセルペダルを踏んだまま戻らない。スタックしている」とメッセージを送った。
レース後にF1公式のフラッシュインタビューで「パワーが失われた」と語った角田の様子からも、相当なアクシデントであったことが伺える。しかし、ここで2度目のピットインを指示したレッドブル陣営は冷静に対処。なんとかリタイアの危機を乗り越えさせる。
そして、3度目のセーフティーカー出動が解除された70周目までにランド・ノリス(マクラーレン)のリタイアなどで11番手までに上がった角田は快走を見せる。10番手につけていたピエール・ガスリー(アルピーヌ)をオーバーテイクしてフィニッシュ。さらに6番手でフィニッシュしたアントネッリがレース後にタイムペナルティを科されて降格したため、最終的に9位に繰り上がった。
荒れ模様のレース展開にあって、何とか喉から手が出るほど欲しかったであろうポイントを獲得した。ゆえに角田からは本音が漏れる。
F1公式のフラッシュインタビューに応じた25歳は、次のようにレースを振り返っている。
「全て揃っていたのに、その全てが自分にとって不利に働いた気がする。最初のセーフティーカーは全く助けにならなかったし、2度目のセーフティーカーは僕のマシンよりも速い時すらあったぐらいだったから。僕が争っていたライバルたちが、最終的に5位や6位でフィニッシュしたことが全てを物語っているよ。
最終スティントでも順位を上げようとしたけど、大きなトラブルがあって、とても難しい状況だった。展開的にかなり厳しい戦いだった。正直に言えば……、普段は9位なんて特別なことだなんて感じないけど。今日の結果は今後の自信に繋がると思う。今回は本当にそれぐらいに大変だった」






