ストレスを乗り越える仕事術 DeNA・ラミレス監督「一番重要なのは準備。データを綿密に頭に叩き込む」

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監督の方が選手よりストレスは大きい

 仕事、家族、人間関係…多忙な日々を送る人たちは多くのストレスを抱えている。一流のアスリート、監督、芸能人らはこのストレスにどのような心構えで対処し、結果を残し続けているのだろうか。1回目の今回はDeNA・アレックス・ラミレス監督。現役時代は13年に外国人枠適用選手初の来日通算2000安打を達成。16年にDeNA監督に就任すると昨年は2年連続CS進出し、19年ぶりの日本シリーズ出場を決めた。異国の地で選手、指導者としてここまで成功した人間は少ない。ラミレス監督にストレスへの対処法を聞いた。

選手時代より掛かる監督の重圧


 就任3年目の今年はリーグ優勝の期待がかかる。野球解説者や専門家の間でもDeNAを優勝候補に挙げる声も多い。「監督の方が選手よりストレスは大きい。多くの選手がいる中でスタメンをどう組むか、ピッチングスタッフもそう。ファンの期待値、チームからの期待値がある。それに応えなければいけない重圧があります」。勝てば官軍だが、負けると監督に批判の矛先が向く。そのストレスは計り知れない。どう対処しているのか。「日本の野球を知ることで私はストレス克服の仕方を学んだ。試合のために徹底して準備する。それをルーティン化します」と即答した。

 現役時代は投手の特徴だけでなく、相手捕手の配球も研究。「球場や走者がどこにいるかで相手の配球も変わってきます。日本の野球は緻密なのでデータをすべて頭に叩き込んで打席に入る」と当時語っていたが、研究熱心な姿勢に裏付けられた戦略は監督になっても大きく生かされている。「一番重要なのは準備です。相手や自分の選手のデータを綿密に調べる。やることは明確です。監督初年度の序盤はチーム状態が良くなかった。でも選手の長所、短所を見抜いて克服できた。データを徹底的に洗い出して調べて準備したからです」。

 CSクライマックスリーズ・広島戦3戦目では先発要員の今永を1点リードの7回に救援起用した。球場がどよめく驚きの継投策も、今永は2回無失点の快投で勝利を呼び込んだ。「レギュラーシーズンとクライマックスは少し違う。相手が予想しないような突拍子なこと(起用法)も裏付けがある。広島も『DeNAはシーズンとは違う』と思ったんではないでしょうか」と振り返る。試合展開は筋書き通りにいかない。投手が突然の乱調、野手が試合中にケガするなど想定外のアクシデントも起こり得る。「準備、分析をしっかりしている人はゲームプランを組み立てられるし、試合中の局面にも対応できる。ストレスも少なくなりますね。準備をしっかりしていなければ、パニックになることもある」と強調した。

 対戦する球団、球場、天候で戦略は変わってくる。ラミレス監督はスコアラーが出した映像や膨大な資料、コーチから得た情報を頭に叩き込んでゲームプランを練る。根底にあるのはチーム、選手への愛情だ。「細川は凄いよ。今まで見たことのない打者。将来日本の4番になれる可能性を秘めている」とうれしそうに話す。データを重視した戦略だが、選手と信頼関係を築くため練習中も頻繁に声を掛けるなどコミュニケーションを重視する。「私は選手を信頼している。高い期待を持っているし。何をしなければいけないかわかっている。セントラルリーグで優勝して日本一になるために準備しているし、その戦略も立てている」。ライバル球団は多い。特に阪神には分が悪い。昨年10勝14敗1分で14年から4年連続対戦カードで負け越している。「他の5球団すべて気を引き締めて戦わなければいけないが、特に警戒するのは阪神タイガース。昨年は相手のリリーフ陣に苦しんだ。今年は結果を出るために修正しないといけない」と眼光が鋭くなった。

 日本に来日して18年目。愛する家族と共に日本への愛着は深い。日本国籍の取得を申請している。「今の自分がいるのは日本のおかげだし恩返ししたい気持ちは強い。日本代表のコーチなど、何らかの形で将来は貢献したい思いがある」。球団の垣根を越えてラミレス監督を慕う選手、コーチは多い。ストレスを乗り越えて結果を出し続ける努力を惜しまない。自身が夢見る目標を実現できる日がやってくるのは、そう遠くないだろう。

■編集部からのお知らせ
3月7日に発売の雑誌「CoCoKARAnext」では読売ジャイアンツ・菅野智之投手のインタビューの他、プロ野球選手に学ぶ仕事術などストレスフルな時期を乗り越える情報を掲載。

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

[文/構成:ココカラネクスト編集部 平尾類]

アレックス・ラミレス

1974年10月3日、ベネズエラ生まれの43歳。大リーグのインディアンス、パイレーツを経て01年ヤクルト入団。08年に巨人、12年にDeNAに移籍。14年にルートインBCリーグ群馬の打撃コーチ兼選手で入団して同年限りで現役引退。07年に外国人、右打者で共に史上初のシーズン200安打、08、09年は2年連続リーグMVPに輝く。日本通算13年間で1744試合出場、打率・301、2017安打、380本塁打、1272打点。本塁打王2回、打点王4回、首位打者1回。16年から横浜DeNAベイスターズの監督を務める。

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