【DeNA】なぜ得意のDH制で強力打線は機能不全になったのか? ハマの軍師が漏らした交流戦で起きた“誤算”「やっぱり難しい」
誤算を招いた“慣れの無さ”
次いで挙げたのは、打撃に専念する難しさだ。
「DHはやっぱり難しいんです。松尾も、1試合だけですけれども戸柱も、普段はキャッチャーとして守備でゲームに入ったなかで打席に入るのと、DHだけで打席に入るのはいつもと違いますから。慣れというのもないので、そこは苦労しますよね」
普段とは異なる内容が求められるDHに対応する苦労を代弁する靍岡コーチは、「とくに松尾は若いですし、(今まで)DHでも出番はなかったですから。そこの難しさはあったと思います」と高卒3年目で、交流戦においては今季が戦力となる実質1年目であった20歳を慮った。
その上で靍岡コーチは、打線全体の元気がなさを問題点に挙げる。そもそも今季の交流戦のビジターにおけるチーム打率は.192と低調。リーグ戦の同.238と比べてもかなり悪い数字となっている。
そうした低調さをふまえて、「昨季は蝦名(達夫)の調子が良かったので1番に入って、また梶原(昂希)が入れ替わったりという形でハマっていきました。下位打線も森敬斗がチャンスを作って、そこから繋いで上位に回す形も作れていましたからね」と話す靍岡コーチは、ピッチャーが打席に入らないメリットを最大限に活かした昨季の打線が、下位から上位に繋げ、DHを含む中軸で得点する好サイクルを形成できていたと回想する。
だが、今季は状態が一変。前出の若手三人衆が精彩を欠き、リードオフマンとして機能していた桑原将志も失速と好材料がなかなか見当たらず……。そうした状況に靍岡コーチも、「1番も、5番以降の打順のやりくりも、結構日替わりで変わりますし、なかなか固定できていないのが現状になっていますね」と苦しい胸の内を吐露する。
「打線の繋がりがなかなか発揮できていないですよね。それで得点できないですし、チーム打率を見ても分かる通りなかなかヒットも打てていませんから。点を取ることに苦労してしまっています。いいピッチャーと当たっていることもありますが、だからこそ割り切って行くことも大事なんですけれども……」
残る交流戦は、本拠地・横浜スタジアムで、DHの無い戦いとなる。そうした中でチーム全体の苦境打破の鍵は何か。攻撃のプランニングを担う軍師は、「調子のいい選手を見出しながら打線を考えなくてはいけないですからね。そこは活発にいい選手がどんどん試合に出られるような環境にしていかないといけません」とフレキシブルに打線を組み替えを公言した。
「悪く言えば固定できていないのですが、日替わりでも試合に出られるところはマイナスには捉えていません。レギュラーひとりだけではなくて、各選手にチャンスがありますから。毎試合毎試合一生懸命準備してくれている選手たちの中で、結果が出る、出ないのせめぎ合いです。そこで誰かがポンポンと結果を出せたなら、そこから1試合、2試合と少しずつスタメンでの試合出場も増えていきますから。同じようなポジションの選手が、いまチーム内で競争しているところなのでね」
不調に、怪我で役者も揃わず、得意なはずだったDH制が逆の目にでてしまった今年の交流戦。だが、負けが込みながらもセ・リーグの順位が変わらぬ“怪現象”もプラスに捉え、攻撃の鍵を握る軍師は、得点力アップのために手を尽くす。
[取材・文/萩原孝弘]
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