「私は投入したくなかった」なぜドジャースは山本由伸を中0日で投げさせたのか? ロバーツ監督が証言した“伝説連投”の舞台裏
「(試合開始前の)14時までは彼が投げられるなんて知らなかった」
もっとも、先述したようにレギュラーシーズンでは「ありえない」起用法だ。とくに近年のメジャーリーグでは、高額な複数年契約を交わした選手を徹底的にケアする傾向にある。こと市場価値が高まっている先発投手に対しては球数制限を設けるなど、ダメージを最小限にとどめる球団も少なくない。連投などもってのほかでない。
そんな球界の現状を考えれば、ドジャースの策は“常識外れ”。仮に敗れていれば、猛批判のタネとなっていたおかしくはなかった。
ではなぜ球界屈指のタレント誇るドジャースの首脳陣は、山本の異例の中0日登板を決意したのか。その一端を他でもないデーブ・ロバーツ監督が明かしている。
試合後に米スポーツ専門局『FOX Sports』の中継番組にゲスト出演した指揮官は、「毎年、チームの編成状況は違う。監督という立場にある私にとって最大の秘訣は、いかにして全員を『納得させるか』にあるんだ」と自身の采配に対する考えを強調。その上で、「ヤマモトは中0日で出て行っても、『ボールをください』と言ってくれた」と証言した。
「正直に言う。私は選手全員を心の底から信頼しているんだ。ただ、実のところ、私も(試合開始前の)14時までは彼が投げられるなんて知らなかったんだ。でも、試合前に私のところにやってきて彼が『投げられます』と言ってきたんだ。『僕が投げます』とね。私としては彼を投入したくはなかった。でも、理にかなった状況なら出すつもりではいたんだ。そして一度送り出したら、もう本人が望むまでは降板させる気はなかった」
首脳陣としても苦悩の末のゴーサインだった。だからこそ、試合後に指揮官は大役を果たした山本を抱きしめ、思わず目を潤ませたのだろう。最悪の事態となった際の批判も覚悟した上での決断が、球史に残る伝説を生んだ。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]
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