“スーパー中学生”だった阪神・森木大智の今 育成契約からの再出発に何を思うのか「思い描いた通りにはいかなかった」

タグ: , , , , 2025/3/18

支配下登録が決まったルーキーの存在に“波紋”も

 ファームの久保田智之投手コーチと昨秋から取り組んできたのは、投球動作の中で左足が着地した時に右肘より先をできるだけ身体の近くにすること。言い換えれば、頭の近くにボールを握った右手、いわゆる「トップの位置」が来ることで「無意識の中でも少しずつできるようになった」と振り返る。

 近年、取り入れる投手も多いショートアーム型にも見えるが少し違う。森木は「僕の中ではショートアームというよりは左足が地面と着地したタイミングでちゃんと頭の近くにボールが上がってきていればいい。その過程がたまたま僕は小さくというか」とメカニックを明かした。

 シンプルなフォームには積み重ねてきた時間と本人の苦悩、もどかしさ、幾多のトライアル&エラーがにじむ。1月の自主トレでは体幹強化や連動性を意識するため水泳や体操など他競技の動きもトレーニングに加えた。体操のように頭のイメージと実際の動きが一致するかといった空間認知能力が求められるわけだが、本人は「投げている時とかもちょっとしたズレに気づいて修正することも大事なので」と語る。

 キャンプを終えた後も投球フォームは微修正している。ただ、「左足を着地した時にトップが頭の位置にあるのは僕のフォームの中で一番のポイントになるので」と“戻る場所”があるのは何よりも大きい。

 課題を向き合う最中、チームは同じ育成契約ながら今春に1軍で150キロ超えの直球を連発して猛アピールに成功していたルーキーの工藤泰成を支配下登録。その存在は少なからず森木の心に波紋をもたらしていた。

「キャンプ中はすごく焦っていました。工藤さんがすごく良いピッチングしていて、自分も負けないようにと思って空回りして、取り組みがブレそうになった。それは良くないと思って、自分のやることをやろうと思って」

 高知中に所属した当時、軟式の最速となる150キロを叩き出し、「スーパー中学生」と注目された男も21歳になった。回り道もしながらたどり着いた現在地から見据えるのは目標の支配下登録、そして1軍のマウンドだ。

「野球をやることに変わらないですし、やってやろうという気持ちです」

 立場や背番号が変わっても、腕を振り続ける。そこに変わりはない。3年前、輝きを放ち、声援を浴びたあのマウンドに戻って見せる。森木大智の「新章」は始まったばかりだ。

[取材・文:遠藤礼]

【関連記事】大谷翔平を牛耳った最高の5球 “MLB平均以下”だった阪神・才木浩人の直球が「メジャー級」と敵将ロバーツを唸らせた理由

【関連記事】「正直、(育成契約も)考えた」――難病克服からの“進化”へ 困難を乗り越える阪神・湯浅京己の「今」

【関連記事】阪神 才木浩人、ドジャース相手に5回7奪三振無失点の圧巻ピッチング! 米メディアも反応「サイキをLA行きの飛行機に乗せるためにいくら支払う必要がある?」

「アスリート/セレブ」新着記事

『CoCoKARAnext』編集スタッフ・ライターを募集

CoCoKARA next オンラインショッピング

PICK UP ユメロン黒川:寝姿勢改善パッド「nobiraku」 寝ている間が伸びる時間

腰が気になる方!腰まわりの予防に、試してみませんか? 寝ている間が、ととのう時間。 nobirakuはパフォーマンス向上の為の“大人のお昼寝”にも最適!

商品を見る CoCoKARAnext
オンラインショップ

おすすめコラム