竜を長年支えた祖父江&岡田の引退試合 対照的なスピーチに人柄やプレースタイルが滲む

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■祖父江、笑いの絶えないスピーチ

 祖父江は3点リードの8回に登場。いつものように、TOKIOの『宙船』に乗せてマウンドに上がり、中村悠平と相対した。

 初球、2球目はともに145キロの速球で1ボール1ストライク。迎えた3球目、決め球のスライダーを投げ込むと、鮮やかに弾き返され、センター前ヒット。祖父江は苦笑いを浮かべ、交代を告げにきた井上一樹監督は「お前らしいな」と言いながら笑っていた。

 26歳でプロ入りしたオールドルーキーは、プロ野球選手として決して体格に恵まれない中でも右腕を振り続け、気づけば500試合以上の登板を重ねた。余談だが、この日の登板を終えて通算イニング数はちょうど「500」。結果は思った形ではなかったかもしれないが、残った数字はキリの良いものだった。

 セレモニーでは、岡田とは対照的に笑いの絶えないスピーチを見せた。冒頭から「頭が真っ白ですけど紙を持ってくるのを忘れました!」と告白し、「(代名詞の)眼光ビームを卒業できると思うとホッとしています!」で場内爆笑。最後は「16年間…間違えました! 12年間でした! 12年間最高の野球人生をありがとうございました!」と自らの在籍年数を間違えるボケ(?)をかました。

 スピーチ後の胴上げもスルーされかけるように、祖父江は先輩・後輩問わずイジられて、愛されてきた。それはただ面白い、ふざけているだけでは成し得ない。誰よりも練習してコツコツと技術を積み上げ、マウンドでは厳しい表情でチームのピンチを救ってきたからこそだ。

 地元・名古屋で生まれ育ち、野球人生を全うした背番号33の姿はドラゴンズファンを魅了した。来季からはその姿を見られないのが寂しい。

[文:尾張はじめ]

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