汚された銀盤 渦中の「絶望」が照らし出したロシア・フィギュア界の暗部

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 五輪では種目別で年齢制限がばらばらという矛盾した問題がある。東京五輪ではスケートボードで12歳の開心那が銀メダルを獲得。一方で2006年トリノ五輪では浅田真央がフィギュアの開催前年の7月1日時点で15歳になっているという条件に3カ月ほど足りず涙を飲んだことも。競技条件に合わせて各国際競技団体(IF)が年齢制限を設けており、飛び込み、重量挙げなど低年齢選手への過度な身体的負担を避けることが主な理由となっている。IOCによる年齢制限はなかったのだが、そこにさらに介入しようという姿勢を暴君が示した格好だ。

 銀メダルを獲得したアレクサンドラ・トゥルソワは演技後に号泣し、トゥトベリゼ・コーチのハグを拒否した。4回転ジャンプ5本という高難度の設定に挑んだが、金には届かず。演技直後には「みんな知っているのよ!」とコーチに怒鳴り、「スケートが嫌い。もう二度としたくない」とまで言い切った。ロシア・フィギュア界において絶対的な地位を築いているのが同コーチ。一方で、脂肪がつきにくい低年齢選手を重用し、体重規制などを厳しく用いる手腕には「使い捨て」との批判もつきまとう。トゥルソワの演技直後の叫びは、同じく同門のワリエワに湧いた疑惑を含めてロシア・フィギュア界の暗部を告発したように世界は受け取った。

 金、銀、そして暫定4位。団体でも金メダルを獲得したロシア・フィギュア。そもそもロシアは自国開催だった2014年ソチ五輪において、国家ぐるみでドーピング不正を行っていたと認定され、2022年12月まで主要国際大会から追放された。独自に潔白を証明した選手だけが、ロシア・オリンピック委員会(ROC)の一員として出場を許されていた。そんな中で繰り返された悲劇、そして身内からの悲痛な告発。北京の銀盤には、最後まで後味の悪さしか残らなかった。





[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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