【エディージャパン検証】2024年最後のテストマッチで露呈した”成熟度”の低さ イングランド戦は点差以上の内容の差が

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 スクラム以上の惨状を呈したのがラインアウト。2本のスチールと3本のスローミスで、自らチャンスを手放してしまっていた。レギュラーHOの原田衛が試合直前で欠場となり、急遽先発したのがこの試合が初キャップの李承爀。招集されたのがイングランド戦の直前という状態で、ジャパンというチームに十分にフィットできていなかったこともあるが、ラインアウトで確実にボールを保持して、そこを起点に攻めようとしていたチームにとっては大きなマイナスだった。

 交代出場した松岡賢太もまた、後半早々の相手ゴール前でのマイボールラインアウトでスチールを許す手痛いミスがあった。前述したスクラムでの劣勢も、この日出場したHO2人の経験の浅さと無関係ではないだろう。SO、FBに続き、レギュラー選手と控え選手の間に大きな差があることを露呈したHOの育成も今後の大きな課題の一つとなった。

 ジャパンの持ち味がことごとく殺されていたこの試合の中での数少ない光明は、2本のトライだろう。1本目のトライは、素早い球回しを継続させ、相手ディフェンスラインにできたギャップを、ジャパンの切り札であるディラン・ライリーが鋭く突いて大幅にゲインし、齋藤がフォローして挙げたもの。2本目はやや相手の注意力が散漫となった密集近辺でFWが細かくオフロードパスを繋いでFL姫野和樹がインゴールに捩じ込んだ。どちらも、相手の隙を上手くついたトライで、「超速ラグビー」の理想型でもあった。

 こうした隙を意図して数多く作り出し、そこを突いて得点を重ねることが超速ラグビーの理想的な試合運びなのだろう。とはいえ、この理想像を体現しているとはお世辞にも言えないのが今のチーム状態だ。ジャパンの次のテストマッチは来夏まで一旦お休みとなるが、今年のテストマッチの結果を受け、その期間にどれだけ理想型に近づけるのか。選手選考と併せ、エディーHCの手綱さばきに注目したい。





[文:江良与一]

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