【エディジャパン検証】アメリカに勝利も”ミスの多さ”が目についた一戦 立川理道の起用法は有効なオプションに
この試合でも、度々いい流れを自ら断ち切る結果をもたらしたし、ハンドリングミスにつけ込まれて自陣深く攻め込まれ、トライを奪われた場面もあった。パスもキャッチも最も基本的な技術であるがゆえに、一朝一夕には急激な改善が難しい。選手個々人としてもチームとしても、最大の課題として取り組む必要があるだろう。
ラインアウトからのモール対策も急務。アメリカの1本目のトライはジャパンの力の方向をうまくずらしてドライブし一気にインゴールに雪崩れ込んで奪ったもの。ジャパンのモールは攻めに回った時は強いが、守りの際には隙が多いことを見抜いた上で、しっかりとその弱点をついてきた。
サマーシリーズではランキング上位国に対し優位に立っていたスクラムも、カナダ戦に続き、この試合では分が悪かった。1回押し勝ってペナルティーを奪った以外は常に劣勢に立たされていた。ランキング上位国は無論のこと、下位国もジャパンを深く研究し、弱みを的確に突く、あるいは強みを消す戦法を採ってきている。ジャパンが確実に課題を解決し、相手の研究を上回る進化を果たさない限り、ランキング上位国からの勝利はおろか、下位国に足元をすくわれることにもなりかねない。
ジャパンの進化を支えるコンセプトは「超速ラグビー」だが、皮肉なことにその「超速ラグビー」を見事に体現していたのはアメリカの3本目のトライだった。キープレーヤーは背番号11をつけたオウグスバーガー。一つ前のブレイクダウンでしっかりと球出しに貢献した後、休むことなく逆目となる左サイドの大外に走り込んでロングパスを受け、ぽっかり空いたスペースを駆け抜けてトライを奪った。密集でのファイト、ゲインが狙える位置を見抜く目、そしてゴールラインまで走り切るフットネスとスピード、全てが噛み合った素晴らしいトライだった。こうしたシーンを数多く出現させる選手を育成することが「超速ラグビー」の実現につながっていく。
準決勝で待ち受けるサモアは、カナダ、アメリカよりもフィジカルに勝り、隙も少ないチームだ。ジャパンよりランキング上位(13位)でもある。1週間という短い期間しかないが、少しでも課題を解決した上で、試合に臨み勝利する姿が見たい。
[文:江良与一]
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