ドーピング容認大会出場選手の資格停止は「停滞」 世界水泳連盟の処分に主催者が異論「脅迫に頼るようになった」

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エンハンスト・ゲームズ出場者となっている元豪州代表のマグヌッセン。(C)Getty Images

 当然とも言うべき、声明が発表された。去る6月3日、世界水泳連盟は、来年5月に米ネバダ州ラスベガスのホテル「リゾーツ・ワールド」で第1回大会が行われる予定となっているドーピングの使用を容認する国際大会「エンハンスト・ゲームズ」に関わった選手やコーチ、関係者を資格停止にする方針を決定。これを即時実行した。

【動画】異様なビルドアップ! 禁止薬物解禁大会に参加する豪選手の近影

 オーストラリアの起業家アロン・デ・ソウザ氏が創始者となった同大会は、「Enhanced(強化された、改良された)」という名の通り、ステロイドやヒト成長ホルモンなど国際大会で禁止されている薬物の使用が容認。「人間の新たなカテゴリーを創造する」との目的の下、陸上(100メートル、女子100メートルハードルと男子110メートルハードル)、水泳(50メートルと100メートルの自由形およびバタフライ)、重量挙げ(スナッチおよびクリーン&ジャーク)の3競技で、世界新記録の更新を目論む。

 競技前から医師が禁止薬物の種類や摂取量を徹底管理するという前提条件あるにせよ、あまりにエンタメ色が強く、スポーツの概念を壊す危険な大会になり得る。それだけに「クリーンなスポーツへの揺るぎない取り組みを強化する」と明言する世界水泳連盟が、関係者をも「資格停止」とする決定の即時行使は、強い反発意志の表れだと言えよう。

 もっとも、エンハンスト・ゲームズ側からは異論が上がっている。創始者であるデ・ソウザ氏は、英公共放送『BBC』に対して「選手を守るためのものではなく、市場の独占を維持するためのものだ」と主張。世界水泳連盟に対して苛立ちを露わにするとともに、自身の主催する大会の“正当性”を訴えた。

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