「悪知恵」が働きやすい最速ラップポイントの廃止は妥当 予選のポールバトルに”価値”を与えては?
ファステストラップポイントには選手からも様々な意見があった(C)Getty Images
世界モータースポーツ評議会はF1で導入されているファステストラップポイントを今季限りで廃止することを承認した。決勝レースでファステストラップを記録し、10位以内でゴールした選手に1点が付与される制度で2019年から採用されてきた。世界選手権草創期の1950~59年にも1点が与えられる制度が存在したが、本来の趣旨とは異なる形でポイントを取りに行くケースが増えたことから廃止を求める意見が増えていた。
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特に後ろを走るマシンとのタイム差が開いてピットストップしても順位が変わらない見通しとなった場合、いわゆるフリーピットストップが可能時に1点を取りに行くことが横行した。
このほか、今季のシンガポールGPでは入賞圏外を走行していたRBのダニエル・リカルドが終盤でタイヤを履き替えてファステストラップを取りに行き、それまで同ラップを刻んでいたマクラーレンのノリスから1点を剝ぎ取り、タイトルを争うレッドブルを結果的にアシストすることもあった。
ただし、このように運用されることは導入する前から予想されてきた。フェラーリのカルロス・サインツはアメリカGPの公式記者会見で「状況によって、レース中にフリーピットストップができたドライバーに与えられるポイントになっている。誰がレースで最も速かったかを示すものではない」と制度の不備を指摘。キックザウバーのバルテリ・ボッタスも「誰が一番速いかといったスピードとは関係がないので廃止は正しいと思う」と同調した。