どれだけ活躍しても「調子に乗らない男」――東海最注目のドラフト候補、モイセエフ・ニキータの高校3年間とこれから
謙虚に努力を続けたモイセエフは、驕らない人間性も魅力だ 写真:尾関雄一朗
■「尋常じゃない」練習熱心さ
意欲的に練習に励み、充実した高校3年間を過ごした。強打者への階段をのぼった豊川のモイセエフ・ニキータは、東海地方最注目の高校生としてドラフト会議を迎える。プロ12球団から調査書が届いている。
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「ものすごく成長できた3年間でした。野球にかける思いや考え方も変わりました。中学生の頃までは、あまり自主練習などもやってこなかったので。豊川高校に入って良かったです」
充実した練習環境のもと、寮生活で野球に打ち込んだ。平日の全体練習が夜8時頃に終わり、食堂で夕食をとると、室内練習場に戻ってさらに1時間半近く汗を流す日々。朝練も含め、豊富な練習量をこなした。
豊川の長谷川裕記監督もモイセエフの取り組みを認める。「ニキータの手を見ると、いつもガッチガチなんです。自分の時間(オフタイム)でも尋常じゃないぐらいスイングしているはず。やりきれる力が彼にはあります」
高校1年冬から2年春にかけてグンと伸びた。その時期、長谷川監督から受けたある“指令”をモイセエフはクリアした。
「春は4番で使うから、それにふさわしい身体をつくるように。そう命じました。既にレギュラーとして打率を残していましたが、本人がプロ入りを望む以上、満足していてはいけないし、長打を打てないと評価されませんから」(長谷川監督)
すると、春の時点で当時の目標体重(80キロ)に到達。頑張って身体を大きくした。モイセエフは「1日5食とか、とにかくたくさんご飯を食べないといけないし、結構つらい時期もありました。ウエイト・トレーニングでも自分を追い込みました」と振り返る。
ボリュームアップの効果はてきめん。高校2年の春、初めて本塁打をかっ飛ばし、スラッガーとしての道を歩み始める。