「私の娘は女だ!」”性別問題”の女性ボクサーの父が釈明 相次ぐ誹謗中傷に胸の内を明かす「嘘をついていない」【パリ五輪】
銅メダル以上を確定させたケリフ。試合直後の目には光るものがあった。(C)Getty Images
「私は女よ!」
そう涙しながら叫び、自らの勝利を誇るアルジェリア人戦士の姿は衝撃的だった。
声の主は、イマネ・ケリフ(アルジェリア)。現地時間8月3日に行われたパリ五輪の女子ボクシング66キロ級準々決勝で、アンナ・ルツァ・ハモリ(ハンガリー)と対戦した彼女は、5-0とフルマークによる判定勝ちを収め、銅メダル以上を確定。見事に母国に今大会初のメダルをもたらした。
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彼女のパリ五輪参戦を巡る議論はいまも尽きない。キッカケは昨年に行われた世界選手権での出来事だった。
大会前に国際ボクシング連盟(IBA)が実施した性別適格性検査でケリフは「XY染色体を持っている」と判明。今大会57キロ級に出場しているリン・ユーチン(台湾)とともに女子競技への出場権を剥奪されていた。
そうした中でケリフの状態について「医学的に問題がない」とする国際オリンピック連盟は、東京五輪に続くパリ五輪への参加を認定。ただ、IBAの検査がハッキリしていなかったために、性別の適性資格を巡って各国のファンやメディアから批判が殺到した。
SNSに溢れかえった批判、さらには誹謗中傷を見れば、ケリフの心身的な負担の大きさは想像に難くない。予期せぬ形で広まった騒動に彼女の家族は胸を痛めている。父親のアマルさんは、米日刊紙『USA Today』などの複数メディアの取材で「私は娘のことを誇りに思っている。なぜなら、彼女はチャンピオンであり、私に名誉を与えてくれた」と語り、こう訴えかけた。