ヨーロッパスマッシュでも二人を撃破 「中国キラー」のカットマン 橋本帆乃香の活躍が示すもの

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 しかし、91回も打てば当然ミスも出る。今回の場合それは5回であり、それによる得点こそがカットマンの戦略だ。橋本はこれに、逆襲攻撃での3点、横回転等の攪乱戦法での4点を加えて、計12点をもぎ取って王芸迪を下した。これぞカットマンという勝ち方だった。

 橋本は次の準々決勝で、世界ランキング2位の王曼昱(中国)と対戦して敗れたが、その最後のゲームもまた9-11と接戦だった。

 こちらは、王曼昱が取った11点のうち、実に9点までがドライブによるもので、そのために王曼昱は88回のドライブを打った。打つ方も打つ方だが、返す方も返す方である。そのうち王曼昱がドライブをミスしたのは、なんと1回のみ。恐ろしいまでの精度だ。これが世界ランキング2位の凄みだ。これでは橋本もカットだけでは得点のしようがない。機を見て逆襲をし、サービスやつなぎボールの回転の変化でなんとか8得点を挙げたが敵わなかった。それらの威力と精度を高めることがさらなる高みに達するためには必要となる。

 1981年世界選手権での童玲(中国)以来44年、カットマンの世界チャンピオンは出ていないが、橋本の活躍は、このプレースタイルの可能性と卓球競技の多様性、そしてなによりも、汲めども尽きぬこのスポーツの魅力を示してくれている。

[文:伊藤条太(卓球コラムニスト)]

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