なぜ“破滅の道”に行ったのか 元日ハム助っ人たちが漏らした水原容疑者への本音「僕らはイッペイを信頼していたんだ」
誰もが羨むような経験を重ねてきていた水原容疑者。それだけに今回のスキャンダルに対する衝撃は広まっている。(C)Getty Images
いまや世間を騒然とさせた事件の「容疑者」となってしまった水原一平氏。彼を取り巻く環境は、ここ数か月で文字通り激変した。
もっとも、責任は自らの裏切り行為にある。水原容疑者は専属通訳を務めていた大谷翔平の銀行口座から1600万ドル(約24億5000万円)もの大金を不正に盗用。自身が興じていたギャンブルの胴元へ送金していた。
【関連記事】水原容疑者が大谷翔平に“なりすませなかった”理由 銀行員との会話を聞いた米捜査員が証言「オオタニは流暢な英語は話さない」
今月11日に米連邦捜査局から「銀行詐欺罪」の罪で追訴された水原容疑者。検察側の訴状によって、2021年の12月からの約2年間で総損失額1億8290万ドル(約279億8370万円)という壮大な賭博に関与していたことも判明。異様と言うべき、真実の数々にお茶の間も腰を抜かした。
無論、大谷をして「一番お世話になった」と公言していたほど、関係者の水原容疑者に対する信頼は厚かった。自身の負債を支払うために大谷本人になりすまして銀行への手続きを行うなどの悪質な行為に及んでいたとは寝耳に水だったに違いない。
周囲の驚きぶりは、通訳として水原容疑者を頼っていた日本ハムの元助っ人たちのコメントからも見て取れる。2014年から約2年間の在籍経験があるマイケル・クロッタは、現地時間4月18日に米スポーツ専門局『ESPN』の取材に応じ、「僕はイッペイなしでは完全に途方に暮れていたと思う。それは野球に限らず、日常生活においてもだ」と断言。同氏の存在がいかに重要であったかを論じた。
異国のチームメイトや首脳陣とのコミュニケーションはもちろん、試合に向けた準備や食事面のサポートなどありとあらゆるサポートを受けていたという。また、家族に対する支援も水原容疑者は徹底。札幌市内にある円山動物園に行くためのチケットや交通手段の手配をするだけでなく、幼稚園を探すための手助け、さらには息子が体調を崩した際には診察の予約を取り、病院に同行したこともあったという。
この手厚いサポートを「全く予想していなかった」というクロッタは、水原容疑者の献身的な行為をこう語っている。
「人口の98%と意思疎通が取れない状況にいると自覚するまで、当然のことだと思っていることがたくさんある。僕は彼の存在なしでは、経験できなかったことがたくさんあった。僕の思いのままにこの文化を経験できるように、彼は間違いなく尽力してくれた」