ベターなのかさえも疑問を抱くリスト――”OAなし”の大岩ジャパンに「最初のチーム」になる野心はあるか【パリ五輪】
日本はオーバーエイジ無しで決勝ラウンドへ進んだ例がない。今回の代表はその”定説”を覆せるか(C)Getty Images
7月24日に初戦が行われるパリ五輪・サッカー男子、日本代表の18人とバックアップメンバー4人が発表された。
今回は2008年の北京五輪以来となる、オーバーエイジ無しのリストだ。さらにU-23世代も久保建英、鈴木唯人、鈴木彩艶らが、クラブから招集容認の確約を取れず、招集外となった。
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メンバーの中心は、今年4月に最終予選を戦った選手たちだ。そこに斉藤光毅と三戸舜介、オランダのスパルタ・ロッテルダムでプレーする2人が加わった。
その一方、最終予選の主力だった松木玖生は、まさかの落選。山本昌邦ナショナルチームダイレクターによれば、松木は移籍の可能性があり、やはり招集の確約を取れなかったとのこと。五輪の制約上、ベストメンバーを組めないのは最初からわかっていたが、正直、これはベターなのかさえも疑問を抱くリストだ。
大岩剛監督は、選ばなかった選手については一切話さないスタンスを貫いたが、山本氏によれば、「現場からオーバーエイジの希望は当然あった」とのこと。つまり、現場の希望があったのに誰も招集できなかった。欧州クラブのチーム編成が現在進行系で進む、このシーズン前のタイミングでは、招集の確約まで取れるクラブが無かったということだ。
五輪に対する欧州クラブ側のネガティブな対応は以前からわかっていたこと。仕方のないものだが、昨今はそれだけでなく、日本サッカー側の五輪へ臨む姿勢も変わってきたように思える。
つまり、選手が現在所属するクラブから招集を拒否されたり、新監督の体制が定まるまで確約できない、といった対応をされて招集外になるのは理解できる。しかし、「移籍の可能性があるから」と外れた選手、たとえば松木に関しては、まだ未決事項なのだから、パリ五輪への出場を移籍条件に入れて交渉を進めることは可能だ。
ただ、そうした条件付けは選手個人の移籍といった、キャリアアップの障害になりかねない。自国開催の五輪ならともかく、パリ五輪選手自身の意志として、パリ五輪と今後のキャリアを天秤にかけた結果、>ではなく、<になったケースが含まれることは、山本氏の言外から読み取れる。