「集中力が芯から高い」OAなしで”史上初”を成し遂げた大岩ジャパンの戦いぶりが心を揺さぶるワケ【パリ五輪】

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 再び試合は膠着しかけたが、その後くらいか。60分辺りから、マリの選手たちの異変が目に付くようになった。ポジション修正が遅い。動きが鈍い。切り替えが遅い。疲労の色が濃そうだ。

 1戦目を5-0の大差で制した日本と、終盤まで競っていたマリ。また、2戦目への移動がなかった日本と、中2日でボルドーへの移動を強いられたマリ。さらに、前半にボールを握って試合をコントロールした日本と、その日本の攻撃にマンツーマンでリアクション守備を続けたマリ。さらにさらに、後半はハイプレス比重が高まったマリ。

 マリの背後にかなりスペースが空くようになった。試合の均衡が崩れかけている。日本は山田楓喜に代えて佐藤恵允を投入し、突進力を強化する。細谷、三戸、藤尾、佐藤のロングカウンター四銃士、ここに集結。そして……。

 76分に藤尾のスルーパスに抜け出した細谷が、グラウンダーで折り返し、三戸が飛び込むが、惜しくも合わせ切れない。ここは残念。

 しかし82分、日本は自陣で奪い返したボールを、細谷がターンして右サイドから持ち込み、背負った相手を剥がしてドリブルで長駆を抜け抜けた。折り返しを三戸がスルーし、大外から来た佐藤のシュートはGKに防がれたが、さらにもう一人。前半からこのスペースを狙い続けた山本に、ついにボールが舞い降りる。シュートに対するファー詰め。基本と言えば基本だが、この終盤までやり続けるのは大変な苦労だ。泥臭く、本当に泥にまみれて、1点をもぎ取った。

 その後はPKの危機もあったが、1-0で逃げ切った。前半はボール保持が中心、後半は徐々に速攻陣形へ移行。勝たなければならないマリの焦りを逆手に取り、相手陣のスペースを利用する戦い方にシフトした。日本は引き分け上等の状況ではあるけど、かといって、芽生えたチャンスは見逃さない。

 初戦の結果は、本当に大事。まさにこういうことだ。初戦で勝ち点を取れないと、マリのように足下を見られた展開を強いられてしまう。相手の立場になれば、それを痛感する試合だった。

 ただ、それにしても、U-23日本がここまで状況をうまく利用し、戦えるとは正直思わなかった。試合巧者すぎて驚いた。もちろん、藤田が2枚目の警告で退場せずに済んだとか、PKを止めたとか、相手のシュートがゴールポストを叩いたとか、際どい場面は多々あったのは確かだが、機会は日本にもあった。

 何より日本はセルフジャッジがほとんどなく、足を止めず、試合に対する集中力が芯から高かった。月並みだが、サッカーは不思議と、こういうチームに結果が下りてくる。

 オーバーエイジ無しで、史上初の決勝トーナメント進出。アジア最終予選に臨む段階から「今回はやばい」「出場権危ない」と言われたチームが、ここまでやるとは誰も思わなかっただろう。ただし、この後の日本は対戦相手からもファン・メディアからも、期待値が上がった状態で戦うことになる。その中でも、この心を揺さぶる試合を見せてほしいところだ。





[文:清水英斗]

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