【検証オーストラリア戦】「慎重」がゆえに表れた”3バックの盲点” 焦りも見えた引き分けはW杯本番への大きな学びに

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 守備の3バック機能を維持しつつ、サイドに対する中盤のサポートを増やす。相手が前半開始直後のようにハイプレスに来たら、4枚回しで優位を作ることもできる。「慎重に」試合を動かすために、これが森保ジャパンのベスト回答だった。

 一方でプレッシングは、前半に実践したような、敵陣で一発のパスを出させてから囲い込むハイブロックの守備から、後半は相手GKまでプレッシャーをかけるハイプレスに変わった。相手GKにのらりくらりとボールを持たせたくなかったのだろうが、この修正は試合をオープンにし、日本の選手は疲労が増し、結果的にシンプルなロングボールを起点にオーストラリアの先制点を誘発することになった。

 ボランチの左サイドバック化は功を奏したが、ハイプレス変更は微妙なところ、と個人的には感じた。

 この試合の論点は多い。非常に学びがある、大事な試合だったと思う。

 オーストラリアはシュート1本、コーナーキック0本。こんな試合を落としたくない。日本のほうが圧倒的に押し込んでいるのに、泥沼に引きずり込まれたまま、終わるなんて。そう思っていた矢先、後半13分にオウンゴールで失点した。

 これじゃ、コスタリカ戦じゃないか!

 筆者は試合中に、カタールW杯の苦い記憶が蘇っていた。当時は後半36分の失点で、追いつく時間が足りずに0-1で敗れたが、今回は追いつく時間とホームの大声援があり、どうにか1-1に持ち込んだ。

 だが、のらりくらりと膠着状態に持ち込まれ、前半0-0から、後半に虎の子の1点で逃げ切りを図られる展開は、コスタリカ戦を思い出すしかなかった。

 このまま森保ジャパンが好調を維持すれば、最終予選の残る試合、さらに2026年のワールドカップでも同様の試合があるかもしれない。出場国数が48に増えた場合、日本の同グループにランキングの格下が1~2チーム入ってくる可能性がある。そのチームが考える日本対策は、おそらく今回のオーストラリア、あるいは2年前のコスタリカのような戦い方なのだろう。

 これは大きな学びになる。オーストラリアに感謝したい。また、そう余裕を持って言えるのは、中村が同点ゴールを誘発してくれたおかげなので、中村にも感謝。

[文・清水英斗]

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