【エディージャパン検証】問われる「遺産」の活かし方 数的不利でも「超速ラグビー」の片鱗は見せたが【ラグビー】

タグ: , , , 2024/7/15

 さらにジャパンは、前半20分にラインアウトからモールでインゴール内になだれ込まれ、逆転を許した。昨年のW杯カップ以降、直近の国際試合に至るまで、ジャパンのラインアウトからのモールには精度の低下が見える。このトライもうまく力をそらされたとはいえ、手も足もでないといった状態で奪われてしまい、失点以上にジョージアの士気を大いに高める結果を招いてしまった。

 数的不利に立たされたジャパンは、無類の強さを誇るジョージアスクラムに対し、一人少ないスクラムでは力負けすることは明らかだったため、以降のスクラムは長田、ナイカブラの両WTBが交代でFLの位置に入ったが、その分BKの選手の負担が増え、選手たちには疲労の色がどんどん濃くなっていった。

 そんな中でも、後半24分の攻撃は見事だった。息をもつかせぬ連続攻撃から長田がインゴールに飛び込み再逆転に成功。しかし後半32分には途中出場のワクァが、度重なるオフサイドを咎められてシンビンを命じられる。この時点でジャパンは試合終了まで13人で戦わざるを得なくなり、それまで14人で戦ってきた疲労も加わって、細かいミスが次々と発生し、最後は守りきれずに再々逆転を喰らいそのまま逃げ切られた。

 前週の結果が素晴らしいものだっただけに、ファンのショックの大きさは計り知れないし、何より実際に戦った選手の落胆の大きさは察するに余りある。まずは、密集で反則を犯さない規律の徹底が急務だ。密集は戦闘状態そのものなので、冷静に的確なプレーを遂行するのは非常に難しいことではあるが、反則を犯さないファイトの仕方はいくらでもあるはず。そこを徹底的に追求してほしい。下川個人は今回の痛みを忘れず、ぜひ次の出場機会に活かしてほしい。彼が成長すればこの日の敗戦は意味あるものだったという位置付けに変わって行くはずだ。

 そして、ラインアウトからのモール。これは2015年以降ジャパンにとっては有力な決め手の一つだったが、まだ今回のチームにはその「遺産」が継承されるだけの熟成が進んでいないようだし、対戦チームの研究も進んでいるようだ。2027年に向けては新たなムーブメントの開発と、さらなる修練が求められるだろう。

 この日取り切った2本のトライは、これぞ「超速ラグビー」の真骨頂と言って良いものだった。ジャパンとしてはこの2本のトライを奪った時のような一連の攻撃機会を何度作れるかが勝負になる。次戦のイタリア戦では、呼吸を忘れるほどの連続攻撃を是非とも数多く魅せてほしい。この試合、負けは負けだが、決して後ろを向く必要はないし、そんな暇もない。





[文:江良与一]

【関連記事】ジャパンⅩⅤがマオリ・オールブラックス戦で露呈した決定力不足 課題解消は2027年に間に合うのか?【ラグビー】

【関連記事】「超速ラグビー」は道半ば 大敗のイングランド戦で見えたエディー日本の課題と収穫

【関連記事】日本代表HC復帰のエディ・ジョーンズ氏が残した”しこり” 豪代表OB、元オールブラックスが痛烈批判「彼は嘘をついた。恥ずべき事だ」


「アスリート/セレブ」新着記事

『CoCoKARAnext』編集スタッフ・ライターを募集

CoCoKARA next オンラインショッピング

PICK UP 【期間限定販売】浅倉カンナ ラストファイトメモリアル 拳トロフィー

浅倉カンナの左拳を本人から腕型を採取し、トロフィーとして完全再現させていただきました。 血管やしわの細部までに忠実に再現した、大変貴重なトロフィーとなります。

商品を見る CoCoKARAnext
オンラインショップ

おすすめコラム