米記者が見る中谷潤人の“可能性” 迫る井上尚弥とのスーパーファイト前に証明すべき真価「イノウエといえど、単純には通用しない」【現地発】

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ついに井上と同じ階級での試合に臨む中谷。迫るスーパーファイトへの期待感も高まっている(C)Getty Images

アフマダリエフ戦での井上尚弥なら「無敵」

「ムロジョン・“MJ”・アフマダリエフ戦で見せたナオヤ・イノウエの出来であれば、誰にとっても倒すのは相当難しいだろう」

 フィラデルフィア在住のベテラン・スポーツライター、アダム・アブラモビッツ氏のそんな言葉に同意するボクシングファン、関係者は多いのではないか。

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 スーパーバンタム級において“最大級の難敵”と対戦した9月14日。井上はシャープなアウトボクシングでアフマダリエフを寄せ付けず、大差の判定勝利を飾った。

 必要以上に打ち気にはやることもなく、この日の井上に隙はなかった。強引に倒しに行った際に被弾することが“モンスター”のほぼ唯一の突っ込みどころとみられていただけに、実際にアフマダリエフ戦のように戦えれば、「無敵」に近いかもしれない。

 しかし――。アブラモビッツ氏はスーパーバンタム級にただ1人、井上に太刀打ちできる可能性がある選手がいるとみている。それこそが中谷潤人だ。

「ナカタニは攻撃の幅や多彩さという点で優れており、その豊富なオフェンスの引き出しがあるからこそ、イノウエといえど、“MJ”戦とまったく同じゲームプランを単純になぞるだけでは通用しない。難しい相手になると思う」

 27歳にして、フライ級からバンタム級までの3階級制覇を成し遂げた中谷は31戦全勝(24KO)。ただ勝ち続けているだけではなく、試合内容への評価も高い。米老舗誌『The Ring Magazine』が選定するパウンド・フォー・パウンド・ランキングでも、すでに7位にランクイン。その実力を認めている海外メディアは、もちろんブラモビッツ氏だけではなく、来年5月に予定される井上との直接対決は世界中のファンから注目され、軽量級史上に残るビッグイベントになるのだろう。

 最近は“ビッグバン”という愛称を名乗る中谷は12月27日にサウジアラビアのリヤドでセバスチャン・エルナンデス(メキシコ)とスーパーバンタム級10回戦を行う。

 バンタム級での最後の試合となった西田凌佑(六島)とのWBC、IBF王座統一戦で6回TKO勝ちを収めた中谷は、転級後すぐにWBA、WBC、WBO世界スーパーバンタム級1位に君臨。エルナンデス戦はスーパーバンタム級での初戦であるとともに、井上戦の前哨戦でもある。かたや“モンスター”は同日にメインマッチでアラン・ピカソ(メキシコ)を相手に世界スーパーバンタム級4団体王座の防衛戦を行う。そのセミファイナルに登場する中谷は、実力を再びアピールする絶好の機会を得たと言っていい。

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