【独占インタビュー】浅倉カンナが打ち明けた電撃引退の舞台裏 「暗い感じの引退じゃない」と語った26歳の真意とは

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“仲間”の涙にも鈍らなかった決意

 生半可ではない格闘技人生を歩んできた。

 父親の影響もあって幼稚園の年長時からレスリングに打ち込み、高校1年時に総合格闘家に転身。当時、「ツヨカワクイーン」としてシュートボクシングで異彩を放っていたRENA(シーザージム)に憧れ、2014年には17歳でプロデビューを飾った。

 プロデビュー以降は怒涛の日々だった。修斗、PANCRASE、DEEP JEWELS、そしてRIZNと複数団体を舞台に戦った。十代の少女には相当なハードワークだったが、幼少期から格闘技に打ち込み、心身を鍛えてきた影響も手伝い、ちょっとやそっとの出来事で辞めたいとは思わなかった。

「本当に最初は自分がただ強くなりたいという想いで格闘技をやっていたんです。でも、だんだんと応援してくれる人も増えてきて、そういう人たちの後押しがパワーになってましたね」

 だからこそ周囲は引退に少なからず驚いた。決意したカンナから報告を受けた家族、マネージャー、ジムの会長、トレーナーは「思っていたよりも早かった」と涙した。この時、苦楽を共にしてきた仲間たちの熱い想いに本人も胸が熱くなったのは想像に難くない。

 それでも決意は鈍らなかった。「(引退を決めて)楽になりましたね」と話す26歳は、こう続けた。

「自分で決めるまでは、結構、モヤモヤと悩んだりもした。でも、決めてからは、気持ちが楽になりました。今まで先が見えなかったのが、やっと終わりが見えたっていう感じですね」

 もちろん、リングから離れた後の人生も見据えている。「自分的には暗い感じの引退じゃない」と言うカンナは「格闘技のない女子を楽しみたいですね」と笑う。

「とりあえず女の子としての人生を楽しみたい。今までずっと誰かと競って生きてきたので、誰とも競わず、何にも追われない人生ってどんなだろうっていう楽しみもあります。当然、引退したら格闘家じゃなくなるので、そうなった時の自分も楽しみですね。怪我とかで引退しなきゃいけない選手もいる中で、こうして決められるのはすごくありがたいことだなと思います」

 そんな格闘技人生の集大成となる一戦の相手は、女子スーパーアトム級王者の伊澤星花(JAPAN TOP TEAM)。本人曰く伊澤は「とにかく強い」という強敵だが、「今までの試合は負けたらやばいというか、『カンナが勝つだろう』みたいな相手が多かったので、メンタル的にもしんどかった。ですけど、今回はフレッシュな状態で、気持ちよく戦えると思います」と精神的なコンディションは万全だ。

「純情可憐タックル女子」の異名を授かり、日本の女子格闘技を彩ってきた一人でもあるカンナは、キャリアの集大成をいかに飾るのか。心身ともに万全だという彼女の最後の舞台には期待しかない。





[取材・文:羽澄凜太郎]

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