三嶋一輝の「真っ直ぐ」な生き様が残した“財産” 難病も乗り越えた13年間の軌跡と仲間たちの証言「あれだけ尊敬できる人は珍しい」【DeNA】
苦悩を抱えながら、病の壁を乗り越えた三嶋。その背中は後輩の刺激となった(C)萩原孝弘
難病を越えた「勇気」と「弱音」
長年、そのボールを受け続けてきた捕手・戸柱恭孝は、三嶋の歩んできた道のりの険しさを称える。
「先発、ロングリリーフ、セットアッパー、抑えとやっているので。それぞれにアドバイスができるんです。彼はグラウンド外での功績、存在は大きかったですね」
当然、同級生として去り行く仲間に思うところもある。その苦悩も知る戸柱は、「彼との思い出は野球でも普段でもあります。マウンド上でユニフォーム着ているときと、ロッカーやプライベートのときは全く別人でしたね。シンプルに寂しいですよね」と惜しむ
寂しさを共有するのは、現役時代からバッテリーを組み、指導者としても彼を見守ってきた靍岡賢二郎ベンチコーチも同様。
「寂しいですよ。現役も被っていますし、一軍でバッテリーも組んでいますから」
そう本音を吐露した上で、後輩たちへの影響をこう分析する。
「口数が多い方ではないですけれど、投げている姿であったり、しっかりと自分のポジションを全うしてくれた。彼の持ち味であるストレートのような生き方を後輩たちは見ていたと思いますし、チームとして年齢の上の選手がそういう姿で示してくれたことは本当にプラスになりました」
三嶋のキャリア晩年を語る上で、国指定難病「黄色靭帯骨化症」からの復帰劇は外せない。
リハビリから1軍のマウンドに立つまでの血のにじむような日々が、数字以上の価値をチームに与えたのは言うまでもない。靍岡コーチは「同じ悩みや怪我をしている選手たちにも勇気を与えるプレーを生き様として見せてくれたので、そこに関しては、グッと来ることがあります。彼が難病から復帰して、一軍の戦力としてしっかり投げることができたことは、野球人生を終えてからでも活きてくると思います」と断言する。
かつてストッパーの座を争い、共にブルペンを支え続けた山﨑康晃は、純粋なライバルという垣根を越えた特別な感情を顕にした。
「同じポジションで投げていて、あれだけ尊敬できる人はなかなか珍しいです。ああいう先輩の姿を見ていて、僕も心から応援できる選手になりたいと思ったことも初めてでした。仲間としてライバルとしてリスペクトしていてくれている気持ちを十分伝えてくれる先輩でしたね」
常に強気で、真っ直ぐに突き進む三嶋。だが、山﨑はリハビリ期間中の「別の顔」にも言及した。
「病気で苦しんでいる姿を見てきましたし、なかなかうまくいかないんだよねってこんな僕に弱音を吐いてくれたことも覚えています。全部が本当にいろいろな思いになりますね」
三嶋が横浜に残したのは、数多の勝利だけではない。仲間の心に灯した「勇気」と、後輩たちに示した「プロとしての背中」。その真っ直ぐな生き様は、これからもベイスターズの指針であり続ける。
[取材・文/萩原孝弘]
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