難病克服の苦悩も知る恩師が“引退”の言葉を呑んだ「まだ野球を続けます」 非情な戦力外宣告を受けた三嶋一輝の“ドラマ”【DeNA】

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DeNAでのラスト登板を終え、バッテリーを組んだ松尾とガッチリと握手を交わした三嶋(C)萩原孝弘

待っていた“非情通告”は想定内だった

 4年契約の最終年となった2025年。まだ夏の太陽が照らす9月上旬、DeNAの三嶋一輝は、球団から非情な通告を受けた。

「『ああそうか』という感じでしたね。僕も13年いますし、結果が出ていないですから。わかりますよ」

 来季の構想から外れている現実は、自身でも想定内だった。

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 ルーキーイヤーから即戦力としての期待に応え、2年目には開幕投手の重責を担った。その後は一転して、結果のでない日々を過ごしたが、中継ぎに活路を見出し、モップアッパーからセットアッパー、ついには守護神にまで登り詰めた。

 しかし、22年に「黄色靱帯骨化症」を発症。世界初の施術も受け、翌年には復活を印象付ける勝ち星を手に入れたが、「正直実際、難しいことがたくさんありました」と告白する通り、国指定の難病がもたらす影響は大きかった。

 ただ、その壁を乗り越えるため、三嶋は「復活ではなく進化」を求め、筋肉量を増やすなど、今までにない様々なトレーニングに取り組んだ。

「それでもしっくりとは来なかったですね」

 悩み、苦しみ、もがき続けてたどり着いた答えは「身体のキレ」だった。持ち味の「弓のようにしなる感覚」を取り戻すため、今年は例年より早く訪れた酷暑の中、「朝から40分は走ってます」とアーリーワークを自らに課し、引き締まった肉体を作った。結果、二軍で7月は防御率0.00。9試合連続無失点と数字も残し、8月初旬には今シーズン初の一軍昇格を果たした。

 一軍でも、ゲーム終盤の厳しい場面で奮闘し、存在感を見せつけた三嶋。しかし、その後は力を発揮できずに約3週間で二軍での再調整を命じられた。

 チームが熾烈な2位争いに身を置く中での降格。それでも三嶋は「全部続けていた」と気持ちを切らず、過酷なトレーニングを続けた。

「それは僕が若い頃、今の三浦監督を見ていたからだと思います。ひたむきに一人で黙々とやれる選手を身近に感じられたからこそ、辛いときでも一人でしっかりやらないといけない、積み重ねていかないといけない。その気持は忘れずにやっていました」

 現役生活25年の三浦大輔(現監督)の姿を自身に重ね、汗を流し続けた。

 再調整となった二軍で登板した6試合で失点したゲームはわずか1。志願して遠征にも帯同するなど、ガムシャラに腕を振り続けた。9月24日の“ラスト登板”はオールストレートで真っ向勝負。「いい球が行ってたと思います」と生き様を見せつけるようなボールを投げ込み、三者凡退でゲームを締めると、17番の歴代のユニフォームに彩られた横須賀スタジアムのスタンドからは、労いと感謝の思いの詰まった声援が轟いた。

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