英国で躍動する清家貴子の“覚悟” なでしこJエースが語った女子サッカーの未来「男女の差があるのは仕方のない。でも――」【現地発】

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日本選手12人が活躍するイングランド。多くの選手たちが活躍を求める理由を清家は冷静に分析してくれた。(C)Getty Images

「女子は女子なりの魅力があると思います」

 代表で生き残るために最大のアピールポイントとして挙げるのが、自身もストロングポイントと認識している「“個”での打開力」である。

「自分の強みでもありますし、こっちに来てなかなか、WEリーグでプレーしてた時とは違う難しさはあります。だけど、その中で、その部分をさらに磨いていくことは、自分自身の今の課題で高めたい部分。そこに取り組んでいきたい」

「流れを変えられるというか、『チームとして行くぞ』という攻撃のスイッチが入るような、 そんな選手になりたいと思います。やっぱり得点・アシストっていう結果の部分を自分が求め続ければ、チームとしても良い結果になってくんじゃないかなと思ってます」

 最後に筆者は、今後の日本女子サッカーに関連する2つの質問を清家にぶつけてみた。

 まず、近年のイングランドリーグに日本選手が大幅に増加したこと。マンチェスター・シティーに所属する5人を筆頭に、現在は合計12人がイングランドの1部リーグでプレーしているが、清家の回答は非常にシンプルだった。

 イングランドが技術面とフィジカル面で秀でたリーグと分析する清家は、「今は世界のトップなんじゃないかなと思います」と指摘。その上で「その中でプレーし続けることが自分自身のレベルアップに繋がる。そして日本女子サッカーの将来にも繋がる。そういう部分を考えている選手が多い」と教えてくれた。

 もう一点は、金銭面での男女格差だ。

 先月、アメリカ代表DFナオミ・ギルマが名門チェルシーに移籍した。その際に支払われた移籍金は90万ポンドで、女子選手の移籍金が初めて100万ドルを超えた。男子のトップクラスの選手の移籍金が2億ポンド以上を記録することがあるなかで、あまりにも遅すぎるのではないかと感じるが、この男女格差は一般的に騒がれているものの、プレーをしている選手たちは実際にはどのように見ているのだろうか。

 清家は「プレーのダイナミックさとか、もちろん伝統とかもあったり、男女の差があるのは集客数を見ても、ある程度仕方のないことだなとは自分は思ってますね」と冷静に話す。ただ、一方で彼女はこうも続けてくれた。

「でも、女子は女子なりの魅力があると思いますし、イングランドでも(観客が)2~3万集まったりすることがちょいちょいある。やっぱり女子サッカーなりの魅力はあると思いますし、自分たちのプレーを高めることがそういう格差の縮小に繋がるんじゃないかと思います」

 いま、欧州のトップリーグでプレーする清家の奮闘は間違いなく、日本女子サッカーの未来に繋がる。だからこそ、2025年の彼女自身の活躍に期待をし、女子サッカー界の発展に貢献してもらいたいと願わずにいられない。





[取材・文:松澤浩三 Text by Kozo Matsuzawa]

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