中日・福谷浩司がFA権行使 残留の目は球団の「ビジョン」提示にあり?
■球団にビジョンはあるのか、問いかける
地元出身のドラフト1位、かつ屈指のインテリ。おそらく球団は戦力であると同時に、将来の幹部候補生として評価する一面も持っているだろう。
話題を呼んだのが2020年オフの契約更改。福谷が交渉の場で「来年以降のチームをどうしたいのか」と、球団幹部に将来のビジョンを問いかけた。幹部はそれに明確な回答を持ち合わせておらず、契約がまとまらなかった経緯がある(※その後の交渉でサイン)。
当時から福谷は「若い選手がモチベーション高く契約を全うできるか」を考えて交渉に臨んでおり、昨オフの契約更改でも同様のことを話していた。今回の権利行使は自身が「他球団の話を聞きたい」旨が主たる目的と思われる中、球団側が中長期的なチームプランを持ち出せるかが一つのポイントになりそうだ。
■獲得に動きそうな球団は?
他球団にとっては「年俸2000万円のCランク、先発・救援で実績のある、来季34歳シーズンの右腕」が市場に出ることになる。付随して、頭脳明晰、後輩への面倒見の良さで人柄面も問題なく、将来の指導者・幹部候補生になり得る。そう評価される場合、獲得に動く球団があるか。
まずは純粋に、投手の層が薄い球団は動いてもおかしくないのではないか。具体的にはヤクルト、楽天あたりが候補か。他に先発投手でFA市場に出るのは石川柊太(ソフトバンク)、九里亜蓮(広島)。彼らを獲れなかった球団が「プランB」として考えるのも想像に難くない。
中日にとっては貴重な先発投手、かつ将来にわたり球団を支えてくれそうな人材をみすみす手放すわけにはいかない。一方でこれまでの福谷の言動を見聞きしていると、もっと広く球界に貢献してほしい気持ちも否定できない。複雑な思いを抱えながら、今後の交渉を見守ることになる。
[文:尾張はじめ]
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