ティリ新体制の男子バレーは不本意な船出に…“4強を逃した”ネーションズリーグで収穫はあったか?
キャプテンの石川は「世界選手権でも表彰台を目指して戦うことに変わりはない」と力強く語った(C)Volleyball World
バレーボールの男子日本代表は7月31日、中国で開催されている「FIVBネーションズリーグ」のファイナルラウンド準々決勝でポーランドと対戦し、0-3(23-25、24-26、12-25)で敗れた。
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相手のポーランドは対戦を前にしてFIVBランキング1位、さらにはウィルフレド・レオンやトマシュ・フォルナルといった昨夏のパリ五輪銀メダリストの面々が加わっていた。日本も予選ラウンド第3週からキャプテンの石川祐希(ペルージャ/イタリア)や髙橋藍(サントリーサンバーズ大阪)らが合流しており、チームの戦闘力アップは見込まれていた。だが、この日は第1セット、第2セットと終盤の競り合いをものにできず、またアタックに関して「大事な場面で勝負にいった際に間違った判断をした」(石川キャプテン)と試合全体で被ブロックは14本と、“らしくない”戦いぶりで黒星を喫している。
今年から新たに就任したロラン・ティリ監督は「すべての大会で表彰台に立つことが、2028年ロサンゼルス五輪でメダルを獲得するためには大事なプロセス」と語っており、今大会でその目標を達成できなかったのは悔やまれる事実だ。とはいえ、2028年への旅路は始まったばかり。「すべての技術面において課題はあります」(ティリ監督)と改善点があるからこそ、チームはここから強くなれる。
振り返れば、今回のネーションズリーグはオリンピックサイクルの1年目という事情が、チームの顔ぶれにも反映された。タフなクラブシーズンを終えて休養やコンディション調整を図った石川や髙橋のほか、ミドルブロッカーの小野寺太志(サントリー)やリベロの山本智大(大阪ブルテオン)も同様に予選ラウンド第2週以降にチームへ合流している。また、2018年の代表初登録以降、常にポイントゲッターであり続けた西田有志(大阪B)は「積極的休養」として、今年の代表活動においては公式戦への不参加を明言した。
とりわけ彼らはパリ五輪を前にFIVBランキングで最高2位まで押し上げる原動力となった面々であり、パフォーマンスの高さは言わずもがな。主力選手たちがそうした決断できるのも新体制初年度だからであり、また男子日本代表が常にフルメンバーで戦わずとも新戦力の起用も含めてチーム全体の底上げをA代表の国際大会でも可能になったことを意味している。これが五輪への出場権獲得プロセスにもFIVBランキングが直結してくる来年、再来年となれば、そうはいかない。
今回のネーションズリーグの結果も変わっていたか? と聞かれれば、それはたらればの話になる。例えば西田の不在も議論の対象になりえるわけだが、それを感じさせないほどに今大会ではオポジットの宮浦健人(ウルフドッグス名古屋)がチームのトップスコアラーとして活躍した。最後のポーランド戦においても試合の序盤でサービスエースを奪って流れをぐっと引き寄せると、アタックでも相手の高さあるブロックに対して的確にコースを狙いすまして得点を重ねた。「ネーションズリーグではすべての試合に出ることができて、昨年よりも相手のマークが集まるなか、そこでは解決策を見出しながらプレーできたと感じます」と宮浦は語り、それでも敗戦の責を受け止めて「個人としてもチームとしても強くなっていきたい」と強く口にしている。






