「前へ」を貫いた明治が早稲田との再戦を制し頂点へ――“接点”と“フィットネス”から紐解く王者の正体【大学ラグビー決勝】
早稲田は、前回の対戦でも優位だったスクラム、今シーズンしばしばデザインされたプレーでチャンスを生んできたラインアウトから活路を見出したいところだったが、両方とも明治が前回の轍を踏まぬようしっかりと対策を立てており、有効な攻撃には繋がらなかった。特に、準決勝までの戦いではしばしば得点に繋がったスロワーの清水健伸をキーマンとするサインプレーがほとんど見られなかった。これも、明治のラインアウトに参加したメンバーがしっかりと競ってクリーンな球出しをさせなかったことが原因だ。明治3本目のトライは、早稲田ボールラインアウトのボールを奪ったことが起点となり、FW、BKが一体となってパスを繋いだ見事なものだった。
また、両チームともにSHやSOからのコンテストキックが数多く蹴られ、空中での競り合いも多々見られたが、双方ともに自軍の選手が確保することが多かった。競り合いの後のディフェンスをどうするかについては両チームともにしっかり対策してきていて、キックが致命傷に繋がることはなかった。全世界的な潮流としてハイボールの競り合いが重視される昨今、こうしたプレーへのチャレンジが両チームに見られたのは喜ばしいことだ。さらなる精度向上を期待したい。
早稲田は、後半32分になって、SO服部亮太のループプレーから、ようやく明治ディフェンスに穴をこじ開け、その穴を切り札・矢崎が切り裂き、最後は途中出場のSH渡邊晃樹がトライ。しかしこれは一矢報いたに過ぎなかった。
点数差こそ大して開かなかったが、全ての局面で「前へ」を貫いた明治の完勝と言って良い試合だった。
来シーズンは、「前へ」の矜持を取り戻し、その矜持を裏打ちするだけのフィットネスを身につけた明治に各大学が挑む構図となる。宿命のライバル早稲田を始め、フィジカル勝負なら引けを取らない帝京、天理、京産を中心とした関西勢、ここ数年急速に力をつけた東洋など楽しみなチームはたくさんある。来シーズンの覇者はどのチームになるのか。今から早くも楽しみだ。
[文:江良与一]
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