北朝鮮の”ラフプレー”を助長した森保ジャパンの「攻め手のなさ」 ”飛車角落ち”のチームはどうやって点を取るのか
北朝鮮から1点しか取れなかった日本代表。勝利はものにしたものの、試合内容には不満が残った(C)Getty Images
ワールドカップ・アジア2次予選の日本対北朝鮮。前半2分に田中碧がゴールを挙げ、楽勝ムードが漂いつつも、その後のスコアは微動だにせず。終わってみれば、1-0の辛勝だった。
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何から言及すれば良いのやら。序盤は紳士的に見えた北朝鮮だが、時間が進むにつれ、ラフプレーが目立つようになった。彼らの「ラフ」は荒いと同時に粗い。両足タックルや足裏タックル、足蹴り、勢いを止めないアフターチャージなど、現代サッカーに至るまでに「それは危険だから止めよう」と細部に渡って注意されてきた禁忌のプレーがてんこ盛りだ。所作が洗練されていない。
まるで40年前にマラドーナが好き放題に削られ、審判にも守ってもらえなかった数多の試合を観るかのような、タイムスリップ感がある。「昔のサッカーってあんなタックルばっかりだったよね」と呟く先輩サッカー記者の言葉から、色々と思い出すものがあった。
北朝鮮は戦術こそ、CKの守備にゾーン+マンツーマンを用いるなど、最近のトレンドを取り入れている。だが、サッカーはどうあるべきか、フェアプレーとは何か、という視点においては、時代の影響を受けていない。いや、もしかしたら両足も足裏もダメだと知っているのかもしれないが、本当に知っているのかどうか、なぜダメなのか、どのレベルで認識しているのか、何も語らない相手からは何も窺い知れない。常識を共有できない相手との試合は不安しかないと、改めて思い知った。
ただ、北朝鮮にラフプレーが増えたのは、日本にも間接的な要因がある。前半2分に幸先の良いスタートを切りながら、2点目、3点目によって相手の心を折ることができなかった。最後まで執念を、アドレナリンを出し、球際で粘られたのは、彼らに希望を与えてしまったからだ。
日本は決定機を外しただけでなく、チャンス自体も足りなかった。サイドにスペースはあったが、あまり高い位置に人数をかけられず、相手のスライドを上回るスピードも出せず、前半は時間と共に攻める機会が減っていった。