井上尚弥のタパレス撃破を識者はどう見た?井上の第二の師匠が見解「距離の取り方とジャブの当て感が際立っていた」

タグ: , , , , , , 2023/12/27

 逆に言えば、井上選手にあれだけ打たせても、力のあるパンチを返したタパレス選手の力を感じました。井上選手が試合中盤であれだけ汗をかいていたのは、今まで見た記憶がありません。それだけ相手にも圧力があったのでしょう。井上選手自身もインタビューで言っていましたが、タパレス選手はポーカーフェイスというか、対戦している選手も効いているのか分からないくらい、タフな相手だったんだと思います。

 井上選手は階級を上げてまだ2戦目なので、相手のパワーに対する”怖さ”もあったでしょう。そのプレッシャーを強く感じるのは必然だと思うんです。しかし、そうした要因があったとしても、あのパーフェクトヒューマンを相手に好勝負ができるなんて、タパレス選手の地力を感じました。

 ただ、そういった相手にもしっかり勝ち切るのが井上選手の強さ。まだまだ底が見えません。例えば、井上選手がパンチをもらった時にガードがブレるとか、そういう場面が出てきたら『階級の壁が来たか』と感じると思うのですが、今はそうした様子はまったく見えません。相手のパンチをしっかりガードできていて、身体がブレることがない。つまり、まだ一番”キツイ状態”ではないということです。本人は「1、2年はスーパーバンタム級でやる」とインタビューで言っていましたが、そこで基盤を作っていけたら、まだまだ階級を上げるチャレンジができるんじゃないかという期待はあります。

 今回の4団体統一で、また世界的な評価が上がり、井上選手の価値が上がったことは間違いないでしょう。メディアではサウジアラビアでの興行など様々な話が出ていますし、今後はさらに大きな注目を集めるはずです。

 スーパーバンタム級は世界的に見れば人口的なヒエラルキーは大きくありませんが、それでも井上選手に対する注目度は図抜けています。メイウェザーのように、1試合で何百億という金額を稼げるようになったら夢がありますよね。井上選手はそれができる存在になりつつあると思います。





[文/構成:ココカラネクスト編集部]

【解説】須佐勝明(すさ・かつあき)

1984年、福島県生まれ。会津工業高校から東洋大学へ。2012年、自衛隊体育学校所属時にロンドン五輪に出場。ロンドン五輪ミドル級金メダリストの村田諒太は東洋大学の1学年後輩にあたる。株式会社AYUA代表取締役。日本ボクシング連盟理事。SUSAGYM会長。アジアコーチ委員会委員長。共同通信社ボクシング評論担当。会津若松市観光大使。ほか。

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