ネリ戦のダウンは「むしろ評価を高めた」 パッキャオを知る元世界王者が井上尚弥の衝撃挽回を再び絶賛「普通ではない」
ネリにダウンを奪われてから冷静に闘い、見事にTKO勝利を飾った井上。(C)Takamoto TOKUHARA/CoCoKARAnext
井上尚弥（大橋）が、“至高の舞台”で見せつけた凄まじい挽回劇に、改めて評価が高まっている。
激闘から早くも一週間。日本、いや世界が熱狂した試合はいまだ色褪せない。去る5月6日、井上は東京ドームで行われたWBC同級1位の挑戦者ルイス・ネリ（メキシコ）とのタイトルマッチを6回1分22秒TKOで勝利。初回にプロ初ダウンを喫するも、そこから3度のダウンをもぎ取り、“悪童”をキャンバスに沈める圧巻のタイトル防衛だった。
【動画】悪童ネリに逆襲の右ストレート！井上尚弥がドームを熱狂させた貫禄のTKOの瞬間
とりわけ衝撃をもたらしたのは、初回のダウンシーンだろう。
両雄が試合開始のゴングとともに果敢に前へ出た。相手の出鼻をくじき、勢いを削ぐ。両陣営の狙いが交差した刹那の出来事だった。近接戦となったところで井上が左アッパーを突き上げ、二の矢を見舞おうと右ストレートを繰り出そうとした瞬間、ぽっかりと空いたわずかな隙間にネリの左フックが炸裂。さしもの「怪物」もキャンバスに倒れた。
東京ドームに詰め掛けた4万3000人の大観衆が息をのんだ。しかし、死角から飛んできた一打に「（パンチの）軌道が読めなかった」という井上だが、焦燥感を募らせる周囲をよそに、「ダメージはさほどなかった」と冷静だった。
8秒のカウントを待ち、ダメージを回復させ、意識もはっきりとさせた井上は、追撃を狙うネリの攻撃を軽々とかわして主導権を握ると、2回と5回にはそれぞれお返しとばかりに左フックでダウンを奪取。そして相手が戦意喪失寸前だった6回、左ジャブ、右アッパーの素早いコンビネーションから強烈な右ストレートを一閃。今度はドームを興奮の坩堝にさせた。
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