ネリ戦のダウンは「むしろ評価を高めた」 パッキャオを知る元世界王者が井上尚弥の衝撃挽回を再び絶賛「普通ではない」

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 プロ初ダウンはパニックに陥ってもおかしくない局面だった。それは間違いない。さらに東京ドームでの歴史的な興行で、下馬評で「勝って当たり前」されたメインマッチを飾る重圧を考えると、井上のクレバーな立ち振る舞いはより際立って映る。

 そんな井上の偉才さは、“ボクシングの本場”でも高い評価を受け続けている。米専門メディア『ProBox TV』の番組「Deep Water」に出演した元WBO世界スーパーライト級王者のクリス・アルジェリ氏は「たしかにイノウエのダウンは、彼が初めて人間に見えた瞬間ではあった」と解説。そのうえで、「でも、あの試合によって僕のイノウエに対する評価は高まった」と断言する。

「まず、イノウエは自分よりも体躯の大きなハードパンチャーを相手に厳しいダウンを奪われても復活した。そして、そのダウンの記憶に囚われず、自分を信じる力も見事だった。彼は危険な相手を前に、危険な状況に追い込まれたが、いつも通りに闘ったんだ。世界戦の初回にダウンを奪われてから巻き返すのは普通にできることではない」

 現役時代には、伝説のマニー・パッキャオ(フィリピン)とも対戦した経験を持つアルジェリ氏は、「イノウエは才能や優れた身体能力を持っているだけの選手じゃない」と強調。「彼は心の強さを持っている。それも達人クラスのね」と続けた。

 百戦錬磨の名手も舌を巻いた井上の決戦。そのパフォーマンスは、彼の類まれなるボクシングスキルだけでなく、図抜けた胆力も、世界に知らしめるものになったようだ。





[文/構成:ココカラネクスト編集部]

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